サマリー
8月28日(金)のニューヨーク株式市場は主要3指数がそろって反落した。カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でウォーシュFRB議長が講演し、インフレ抑制へ将来的な利上げの可能性を排除しない姿勢を示したことが、終盤にかけてハイテク株中心の売りを誘った。もっとも、週間ベースでは主要3指数とも上昇して終えており、前日27日までのエヌビディア・セールスフォースの好決算を受けた上昇分の一部を吐き出す形での反落となった。
主要指数(8月28日終値、米国時間)
| 指数 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | 53,559.99ドル | -9.45ドル(-0.02%) |
| S&P500 | 7,711.76 | -19.53(-0.25%) |
| ナスダック総合指数 | 26,402.42 | -138.92(-0.52%) |
3指数とも週間では上昇して終え、週間ベースでの上昇は継続している。
ウォーシュFRB議長講演:インフレ懸念を強調、利上げ排除せず
この日の焦点は、ジャクソンホール会議でのウォーシュFRB議長の講演だった。同議長は講演で「インフレは高すぎるままだ」との認識を示し、将来的な利上げを排除しない姿勢を示唆した。一方で、人工知能(AI)ブームに伴う企業の設備投資の活発化などを受け、足元の経済情勢は良好だと強調した。
株式市場の反応は時間帯によって分かれた。講演直後は、FRBがインフレ対処に焦点を当てるとの発言が信頼回復につながり一時買われる場面があった。しかし終盤にかけては、ハイテク株を中心に利上げ警戒から売りが強まり、指数は下げて取引を終えた。
朝方に発表されたシカゴ購買部協会景気指数(PMI)や消費者信頼感指数の悪化も、株式市場にとって重荷となった。
セクター動向:小売が上昇、半導体・同製造装置が下落
セクター別では、小売が上昇した一方、半導体・同製造装置が下落した。前日までエヌビディア・マーベル・テクノロジーなどの決算を受けて物色されていた半導体セクターに、この日は利上げ観測を意識した利益確定売りが広がった。
個別銘柄の動き
- マーベル・テクノロジー(MRVL):第2四半期決算の内容が市場予想を上回ったものの、投資家の高い期待には届かず続落
- エヌビディア(NVDA):前日までの高値から利益確定売りが先行
- アファーム・ホールディングス(AFRM):第4四半期決算で調整後の1株当たり利益が予想を上回り上昇
- ギャップ(GAP):第2四半期決算でEPSが予想を上回ったことに加え、低迷していたオールドネイビー部門のテコ入れとして最高経営責任者(CEO)交代を発表し上昇
- ペイパル・ホールディングス(PYPL):同業のストライプとアドベント・インターナショナルが同社買収計画を撤回したと報じられ、下落
- セールスフォース(CRM)、マクドナルド(MCD)、ナイキ(NKE):ダウ構成銘柄の中で買われた銘柄として挙げられている
エヌビディア関連の別報道
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、エヌビディアがAIクラウド企業との収益分配契約を一時停止したと報じた。この報道もAI関連株のセンチメントに影響を与えた可能性がある。
指数寄与度:半導体売りが指数を押し下げ
この日のダウ平均はほぼ横ばい(-0.02%)にとどまったが、ナスダック総合は-0.52%とやや大きく下落した。半導体・同製造装置セクターへの利益確定売りが、ハイテク比率の高いナスダックを相対的に押し下げる形となった。前日27日にエヌビディア決算・セールスフォース決算を好感して急伸した反動もあり、AI関連の当日決算組(マーベル・テクノロジー含む)に利益確定売りが集中したことが、指数の押し下げ要因として大きかったとみられる。
GAFAM(大型ハイテク5社)の動き
| 銘柄 | コード | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|---|
| アップル | AAPL | 319.70ドル | +5.12(+1.62%) |
| マイクロソフト | MSFT | 513.53ドル | +8.47(+1.67%) |
| アルファベット(Class A) | GOOGL | 346.59ドル | +5.94(+1.74%) |
| アルファベット(Class C) | GOOG | 342.88ドル | +5.17(+1.53%) |
| アマゾン・ドット・コム | AMZN | 266.43ドル | +10.17(+3.96%) |
| メタ・プラットフォームズ(Class A) | META | 578.02ドル | +6.92(+1.21%) |
GAFAM5社はこの日そろってプラス圏で取引を終え、なかでもアマゾンが+3.96%と大幅高となった。半導体セクターでは同日エヌビディア(-4.57%)、マイクロン(-0.27%)、AMD(-2.32%)、インテル(-2.84%)、ラムリサーチ(-5.23%)などが軒並み下落しており、この日の株式市場は「半導体は売り、GAFAM中心の大型グロース株は買い」という対照的な構図となった。ウォーシュFRB議長の講演を受けた利上げ観測は、AI設備投資の中核である半導体セクターにより強く影響した一方、GAFAM本体(クラウド・広告・Eコマース事業が主力)への影響は限定的だったとみられる。
為替市場
外国為替市場では、ウォーシュ議長の発言を受けて米金利先高観がやや意識され、円は対ドルで小幅安となり、159円台前半で推移した。
来週にかけての注目点
来週は8月の雇用統計の年次ベンチマーク改定速報の発表が予定されている。ジャクソンホール会議でのウォーシュ議長講演を受けたインフレ・金融政策を巡る見方が、今後の米国債利回りの方向性にどう反映されるかが最大の焦点となる。半導体セクターについては、前週までの決算を受けた物色一巡後、利上げ観測とのバランスの中でどう推移するかが注目される。
本レポートは2026年8月28日(米国時間)の取引終了時点の報道・市場データに基づいて作成しています。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて金融専門家にご相談ください。



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