サマリー
9月2日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に3日続落し、前日比1,889円70銭(-2.85%)安の64,325円64銭で取引を終えた。下げ幅は前引け時点で一時2,100円を超え、8月4日以来の安値水準となった。インフレ加速や財政拡大への懸念から世界的に金利の先高観が強まり、高成長を見込んで買われてきたAI・半導体関連のハイテク株を中心に、収益悪化への懸念から売りが膨らんだ。
原油価格の高騰も投資家心理を冷やし、東証プライム市場では値下がり銘柄数が9割超を占める全面安の展開となった。世界的な金利上昇の後に株価が暴落した1987年の「ブラックマンデー」の再来を懸念する声も出始めている。TOPIX(東証株価指数)は前日比100.26ポイント(-2.40%)安の4,081.60と大幅反落した。
主要指数(9月2日終値)
| 指数 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 64,325.64円 | -1,889.70円(-2.85%) |
| TOPIX | 4,081.60pt | -100.26pt(-2.40%) |
- 前引け安値:一時2,100円超安(64,215円台まで下落)
- 出来高:24億1,905万株
世界的な金利上昇と「金利のある世界」への警戒
高市政権の積極財政による財政悪化への懸念などから、長期金利の指標である新発10年物国債利回りは約30年ぶりの高さで推移した。これは国内固有の要因にとどまらず、世界的な金利上昇の一環でもある。前日(米国時間9月1日)の米国市場では、中東情勢の悪化(米軍によるイラン攻撃を受けた報復の応酬)とISM製造業景気指数の予想下振れを受けて主要3指数がそろって続落しており、この流れが東京市場にも波及した。
日本経済新聞は、インフレ加速や財政拡大への懸念から世界で金利の先高観が強まり、アジアの株式市場が軒並み安となっていると指摘。1987年のブラックマンデー(世界的な金利上昇の後に株価が暴落した事例)の再来を懸念する声も出始めていると報じている。市場では「金利のある世界」への移行が本格化するなかで、高PER(株価収益率)のグロース株全般に対する評価が厳しくなりつつある。
検索急増ランキング
この日の検索急増ランキング上位には、ソフトバンクグループ、キオクシアホールディングス、伊藤園、かどや製油、住友鉱山、フジクラ、住友ファーマ、商船三井などが並んだ。前日1日の検索急増ランキングでもSBG、ファナック、豊田通商、伊藤園が上位に入っており、値動きの大きい主力株・材料株への関心が続いている。
日経平均寄与度:全面安のなか、医薬品株のみプラス圏
日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり14銘柄、値下がり210銘柄、変わらず1銘柄と、9割超の銘柄が値下がりする全面安となった(前引け時点では値上がり7銘柄・値下がり217銘柄とさらに厳しい内容だった)。
押し下げ上位
| 順位 | 銘柄 | コード | 寄与度(円) |
|---|---|---|---|
| 1 | ソフトバンクグループ | 9984 | -271 |
| 2 | アドバンテスト | 6857 | 上位 |
| 3 | 東京エレクトロン | 8035 | 上位 |
| 4 | リクルートホールディングス | 6098 | 上位 |
| 5 | TDK | 6762 | 上位 |
| 6 | ファーストリテイリング | 9983 | 上位 |
| 7 | ファナック | 6954 | 上位 |
ソフトバンクグループ1銘柄で日経平均を約271円押し下げた。ソフトバンクグループとアドバンテストの2銘柄で約474円分の押し下げ要因となっている。値下がり銘柄の寄与度合計は-1,901.91と、下げの規模がいかに大きかったかを示している。
押し上げ上位(数少ないプラス組)
| 順位 | 銘柄 | コード | 直近価格 | 前日比 | 寄与度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 第一三共 | 4568 | 2,889円 | +38.5円 | +3.87 |
| 2 | 塩野義製薬 | 4507 | 2,985.5円 | +35.5円 | +3.57 |
| 3 | 住友ファーマ | 4506 | 1,621円 | +31円 | +1.04 |
| 4 | 武田薬品工業 | 4502 | 5,860円 | +15円 | +0.50 |
| 5 | 伊藤忠商事 | 8001 | 2,150.5円 | +2円 | +0.34 |
| 6 | セブン&アイ・ホールディングス | 3382 | 2,036.5円 | +2.5円 | +0.25 |
値上がり銘柄の寄与度合計はわずか+12.21にとどまり、医薬品株(第一三共、塩野義製薬、住友ファーマ、武田薬品工業)が並ぶ形となった。全面安のなかディフェンシブ性の高い医薬品セクターにのみ資金が逃避した構図がうかがえる。
東証プライム市場:値上がり率上位銘柄
| 順位 | 銘柄 | コード | 株価 | 前日比 | 材料 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 伊藤園 | 2593 | 3,273円 | +262円(+8.70%) | 1Q時点で通期計画の50%超の好決算を発表し年初来高値 |
| 2 | インフォマート | 2492 | 660円 | +24円(+3.77%) | – |
| 3 | 北海道ガス | 9534 | 919円 | +31円(+3.49%) | – |
飲料メーカーの伊藤園が好決算(1Q時点で通期計画の50%超を達成)を受けて年初来高値を更新し、東証プライム市場の値上がり率1位となった。全面安の地合いのなかでも、個別の好材料を持つ銘柄には資金が向かったことを示す一例。
業種別動向
この日は上昇した業種が皆無という厳しい内容だった。下落が目立ったのは非鉄金属、サービス業、ガラス・土石製品、電気機器、輸送用機器など。33業種全てが下落する全面安となった。
売買代金・出来高
東証プライム市場の売買高は24億1,900万株、売買代金は8兆344.31億円となり、前日と比べて増加した。急落局面で商いが膨らむ「狼狽売り」的な様相もうかがえる。
半導体・AI関連が指数押し下げの主因
値がさの半導体関連株には日経平均の値動きへの寄与度が大きい銘柄が多数含まれており、この日の全面安の主因となった。原油高や長期金利の上昇は米国だけでなく国内の債券市場にも影響し、東京市場全体の重荷となっている。日経CNBCでも「誰が半導体株の足を引っ張っているのか」という特集が組まれるなど、半導体セクターの急落が市場の最大の注目テーマとなった。
前週(8月24〜28日)の裁定取引動向
東京証券取引所が発表した8月28日時点の裁定取引に伴う現物株の買い残高(期近・期先合計)は、前週比1,132億円増の2兆3,212億円と2週ぶりに増加した。この週(8月24〜28日)の日経平均株価は週間で389円(+0.58%)上昇しており、日銀の追加利上げ観測の再燃から銀行株などに資金が向かったほか、米国がイランとの戦闘開始前に退避させていた外交官を各国に戻すとの報道も好感されていた。今週に入ってからの急落は、こうした前週までの落ち着きからの反動という側面もある。
テクニカル面:下値めどと「二段下げ」の懸念
前日1日時点での市場予想では、日経平均は前日終値(66,215円)に比べて1,700円ほど安い64,500円が下値めどとされていたが、実際にはこれに近い水準まで下落した。市場関係者の間では、この日の下げが「行き過ぎた金利上昇の織り込み不足」を示すとの見方がある一方、6万3千円台への一段の下落や、9月の配当落ちを経た「二段下げ」で6万1千円台まで下落するシナリオを警戒する声も出ている。
為替市場
世界的な金利上昇を背景に、為替市場でも神経質な値動きが続いている(USD/JPY=159.80近辺)。原油高・金利高という組み合わせは、円相場にとってもインフレ・金利差双方の観点から材料視されやすい状況だ。
アジア市場
日本経済新聞によれば、世界的な金利の先高観を受けてアジアの株式市場は軒並み安となった。半導体関連株比率の高い市場を中心に、東京市場と同様の全面安の展開が広がっている。
来週にかけての注目点
世界的な金利上昇がどこまで進行するか、そして「金利のある世界」への移行に対して株式市場、特に高PERのグロース株がどこまで調整を迫られるかが最大の焦点となる。米・イラン情勢の展開、原油価格の動向、日銀の金融政策スタンス(早期追加利上げ観測)も引き続き重要な変数となりそうだ。急落の後の自律反発があるかどうか、あるいは「二段下げ」シナリオが現実化するかどうかにも注目したい。
本レポートは2026年9月2日時点の報道・市場データに基づいて作成しています。個別銘柄への言及は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて金融専門家にご相談ください。




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