日本市場レポート:日経平均が1,259円安と大幅反落、原油急騰と「トランプ・インフレ」への警戒で1カ月ぶり安値(2026年9月11日)

Daily Market News

サマリー

9月11日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落し、前日比1,259円61銭(-1.93%)安の64,011円34銭で取引を終えた。8月4日以来およそ1カ月ぶりの安値水準となった。前日10日の米国株式市場が続落した流れを受け、幅広い銘柄に売りが先行。中東情勢の緊迫化に伴う原油先物価格の高騰や、米8月卸売物価指数(PPI)の上振れを受けた日米の長期金利上昇が嫌気され、投資家のリスク回避姿勢が強まった。原油相場の急騰や米国の政治運営を起点とする「トランプ・インフレ」への警戒が強まったことも重荷となった。午前中にはAI・半導体関連株を中心に売りが膨らみ、一時前日比2,062円32銭安の63,208円63銭と、およそ1カ月ぶりの安値水準まで下落する場面もあった。後場に入ると買い戻しが入り、相場は下げ渋る展開となった。金利上昇の恩恵が見込まれる銀行・保険などの金融株や、円高進行が一服したことによる自動車関連株などが指数を下支えした。TOPIX(東証株価指数)は前日比26.28ポイント(-0.65%)安の4,028.30ptと日経平均より相対的に小幅な下落にとどまった。

主要指数(9月11日終値)

指数終値前日比
日経平均株価64,011.34円-1,259.61円(-1.93%)
TOPIX4,028.30pt-26.28pt(-0.65%)
  • 始値:64,276.82円(-994.13円)
  • 日中高値:64,312.02円
  • 日中安値:63,208.63円(1カ月ぶり安値水準)
  • 前日終値:65,270.95円
  • 東証プライム市場の売買高:23億7,200万株、売買代金:8兆7,129.23億円(前日比増加)
  • 日経平均構成銘柄の騰落数:値上がり95銘柄、値下がり128銘柄、変わらず2銘柄

なお、この日は9月限の株価指数先物・オプションSQ(特別清算指数)算出日にあたっていたが、大幅な下落により9月SQ値は「幻」となった。

原油急騰と米長期金利急伸が世界的なリスク回避を誘発

11日早朝の取引で原油先物価格が上昇し、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物が一時1バレル104ドル台と4カ月ぶりの高値を付けた。資源を輸入に頼る日本経済にとっての逆風になるとの見方から日本株売りを促した。背景には、サウジアラビアの8月原油生産が1990年来の低水準に急減したとの報道や、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海に面する港湾都市モカを掌握したとの報道があり、中東情勢の混迷が意識された。

また前日10日の米債券市場では、長期金利の指標となる10年物国債利回りが上昇(債券価格は下落)し4.9%台と、2023年10月以来の高水準を付けた。米8月卸売物価指数(PPI)の加速に加え、財務省による長期債買い戻し拡大プログラムで購入額が上限に満たなかったことも金利上昇に拍車をかけたとみられる。債券と比べた株式の割高感が強まり、株式売りにつながった。米中間選挙に向けたばらまき政策など、米国の政治運営を起点とする「トランプ・インフレ」への警戒も強まっている。

日経平均寄与度:アドバンテスト・ソフトバンクGが2銘柄で約748円押し下げ

押し上げ上位

順位銘柄コード寄与度
1京セラ6971+21.99
2コナミグループ9766上位
3バンダイナムコホールディングス7832上位
4豊田通商8015上位
5KDDI9433上位
6東京海上ホールディングス8766上位
7第一三共4568上位
8オリンパス7733上位
9トヨタ自動車7203上位
10本田技研工業7267上位

※本レポート作成時点で京セラの9月11日単独の終値・前日比の確定値を確認できておらず、寄与度のみ判明している。前日10日終値は3,469.0円だった。

金利上昇の恩恵が見込まれる金融株(東京海上ホールディングス)や、円高一服の恩恵を受ける自動車株(トヨタ自動車、本田技研工業)が押し上げ側に並んだ。

押し下げ上位

順位銘柄コードコメント
1アドバンテスト6857押し下げ上位、ソフトバンクGと2銘柄で約748円分押し下げ
2ソフトバンクグループ9984同上
3東京エレクトロン8035半導体関連への売りが波及
4キオクシアホールディングス285A一時8%安まで下落
5イビデン4062半導体材料関連も軟調
6フジクラ5803–
7リクルートホールディングス6098–
8ファーストリテイリング9983–
9レーザーテック6920–
10TDK6762–

キオクシアホールディングスは一時8%安、ソフトバンクグループも一時7%安まで下げる場面があった。値がさのAI・半導体関連株への売りが、この日の下落の主因となった。

業種別動向

業種別では、保険業、海運業、輸送用機器、鉱業、卸売業などが上昇した一方、非鉄金属、電気機器、石油・石炭製品、サービス業、化学などが下落した。

東証プライム市場:値上がり率上位銘柄

順位銘柄コード株価前日比材料
1エアトリ61911,073円+150円(+16.25%)前日の増配発表の余波が続き、2日連続でストップ高水準の上昇
2ファーマフーズ2929692円+70円(+11.25%)–
3ワイ・ティー・エル・コーポレーション・バーハッド177391円+5円(+5.81%)–

検索急増ランキング

この日の検索急増ランキング上位には、キオクシア、トヨタ、INPEX、ソフトバンクグループ(SBG)、三井住友フィナンシャルグループ、アドバンテスト、りそなホールディングスなどが並んだ。原油高の恩恵を受けるINPEXが上位に入っている点が、この日のテーマを象徴している。

テクニカル面:SQ値が「幻」に

この日は9月限の株価指数先物・オプションSQ(特別清算指数)算出日にあたっていたが、朝方からの大幅な下落により、算出されたSQ値を株価が下回って推移する「幻のSQ」となった。

来週にかけての注目点

中東情勢の混迷と原油価格の高止まりが続くかどうか、そして米国の「トランプ・インフレ」への警戒が今後どこまで強まるかが、当面の相場を左右する最大の材料となる。米長期金利が2023年10月以来の高水準(4.9%台)に達しているなか、日本の長期金利も節目の3%まで上昇する場面があり、日米双方の金利動向が株式市場の重荷であり続ける可能性がある。AI・半導体関連株への売りが一巡し、押し目買いが入るかどうかも注視したい。


本レポートは2026年9月11日時点の報道・市場データに基づいて作成しています。個別銘柄への言及は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて金融専門家にご相談ください。

コメント