サマリー
8月21日の東京市場は日経平均が200円43銭安(-0.30%)と反落したが、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回り、TOPIXはプラスで着地するという「見た目以上に底堅い」内容だった。前日の米ウォルマート決算失望を受けてファーストリテイリング(9983)など消費関連・グロース株には売りが続く一方、前日の米SOX指数反発を受けてアドバンテスト(6857)、キオクシアホールディングス(285A)など半導体株には買い戻しが入り、指数を下支えした。東証プライム市場ではストップ高6銘柄・ストップ安1銘柄となっている。
日経平均寄与度:押し上げ・押し下げ上位銘柄(大引け、金額寄与度付き)
押し上げ上位
| 順位 | 銘柄 | コード | 終値 | 前日比 | 寄与度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | アドバンテスト | 6857 | 35,900円 | +540円 | +130.33 |
| 2 | キオクシアホールディングス | 285A | 54,320円 | +1,370円 | +32.15 |
| 3 | 東京エレクトロン | 8035 | 54,290円 | +270円 | +27.15 |
| 4 | KDDI | 9433 | 2,915.5円 | +54.5円 | +21.92 |
| 5 | TDK | 6762 | 3,041円 | +30円 | +15.08 |
| 6 | 伊藤忠商事 | 8001 | 2,080円 | +76円 | +12.74 |
| 7 | トヨタ自動車 | 7203 | 3,132円 | +66円 | +11.06 |
| 8 | 京セラ | 6971 | 3,608円 | +41円 | +11.00 |
| 9 | 三菱商事 | 8058 | 4,794円 | +98円 | +9.86 |
| 10 | 三井物産 | 8031 | 4,899円 | +125円 | +8.38 |
値上がり銘柄数135・寄与度合計+415.14に対し、値下がり銘柄数86・寄与度合計-615.57と、押し下げ側の金額インパクトが上回ったことが日経平均の下落に直結した。
押し下げ上位
| 順位 | 銘柄 | コード | 終値 | 前日比 | 寄与度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ファーストリテイリング | 9983 | 73,510円 | -2,770円 | -222.85 |
| 2 | ソフトバンクグループ | 9984 | 5,255円 | -132円 | -106.20 |
| 3 | リクルートホールディングス | 6098 | 15,900円 | -245円 | -24.64 |
| 4 | 信越化学工業 | 4063 | 6,051円 | -110円 | -18.44 |
| 5 | ファナック | 6954 | 6,035円 | -81円 | -13.58 |
| 6 | 大塚ホールディングス | 4578 | 12,195円 | -405円 | -13.58 |
| 7 | フジクラ | 5803 | 5,280円 | -61円 | -12.27 |
| 8 | 太陽誘電 | 6976 | 9,300円 | -323円 | -10.83 |
| 9 | 良品計画 | 7453 | 4,237円 | -142円 | -9.52 |
| 10 | コナミグループ | 9766 | 21,885円 | -275円 | -9.22 |
ファーストリテイリング・ソフトバンクグループの2銘柄だけで日経平均を約329円押し下げており、この2銘柄が下落の主因であったことがうかがえる。ファーストリテイリングの下落は、前日20日発表の米ウォルマート決算で消費減退への警戒感が強まったことを受けたもの。
業種別動向
東証33業種では海運業、鉱業、石油・石炭製品が上昇トップ級となった一方、その他製品、医薬品、精密機器が下落トップ級となった。原油先物価格の強含みを受けて資源・エネルギー関連が資金の受け皿となり、指数の下支え役を果たした。
個別では三菱商事(8058)、三井物産(8031)といった資源関連商社、川崎汽船(9107)などの海運株に加え、MS&AD(8725)、東京海上ホールディングス(8766)といった保険株も上昇組に名を連ねた。保険株については、この日東証プライム市場全体の約8割にあたる1,231銘柄が値上がりする中、業種別日経平均で上昇率首位となったのが「保険」で、MS&ADが+6%、東京海上が+5%と軒並み好調だった。
一方、値下がり銘柄には中外製薬(4519、寄与度-9.05)、トレンドマイクロ(4704、寄与度-7.91)、ベイカレントHD(6532、寄与度-7.71)、バンダイナムコホールディングス(7832、寄与度-7.04)、日産化学(4021、寄与度-6.17)、任天堂(7974、寄与度-6.10)、HOYA(7741、寄与度-5.78)、ダイキン工業(6367、寄与度-5.36)、住友電気工業(5802、寄与度-5.36)などが並んだ。
東証プライム市場:値上がり率ランキング上位
| 順位 | 銘柄 | コード | 市場 | 上昇率 | 材料 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ANAPホールディングス | 3189 | 東証S | +44.2% | 全上場維持基準への適合を好感 |
| 2 | Defコン | 4833 | 東証G | +26.9% | 仮想通貨関連 |
| 3 | ヒューマメイド | 456A | 東証G | +22.0%(S高) | 国内証券が新規カバレッジ開始 |
| 4 | TORICO | 7138 | 東証G | +20.3% | 仮想通貨関連 |
| 5 | メタプラネット | 3350 | 東証S | +19.0% | ビットコイン急騰で「トレジャリー企業」に物色広がる |
なお、ビットコインが7万3,000ドル台へ急騰したことがアジア関連株にも波及し、メタプラネットは一時+20%急伸する場面もあった。
ストップ高・ストップ安銘柄
- ストップ高:6銘柄(前引け時点では3銘柄)
- ストップ安:1銘柄
材料株としては、フジタ観光(藤田観光か)が大幅高で3日続伸し、アパグループによる株式取得を巡る思惑が継続。日本甜菜製糖は株式分割・増配発表を受け連日で年初来高値を更新した。
話題株ピックアップ(昼刊・夕刊)
- ヒュマメイド(456A):前述の通り証券会社の新規カバレッジ開始を受けて東証グロースでストップ高
- 住友化学(4005):昼刊・夕刊ともに話題株として取り上げられ、値動きの荒さが目立った
- 川崎汽船(9107):海運セクター全体の上昇を主導する形で話題株入り
- コクサイエレクトリック(6525):夕刻にかけて話題株として取り上げられた半導体製造装置関連銘柄
- クボタ(6326):機械セクターの一角として話題株入り
- 日本製紙(3863):前日20日引け後、保有するリンテック株の売却を発表したことが波紋を広げ、翌21日もリンテック(4970、前日510円安の5,220円で急反落)とともに話題となった
- 東京衡機(7719):フィジカルAI関連の新規事業取り組み開始を発表し急反発
- シーイーシー(9692):今期経常利益を8%上方修正し最高益予想を上乗せ
東証グロース市場
東証グロース市場指数は983.53(-9.51)、東証グロース市場250指数は768.47(-8.51)といずれも反落。値下がり銘柄数315、値上がり銘柄数237、変わらず40と値下がりが優勢だった。売買代金はグロース市場指数ベースで1,565億円、250指数ベースで1,201億円。グロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は2.21%安と、本体指数以上に下落率が大きかった。
下落の背景
前日20日の米国株式市場でダウ平均・S&P500・ナスダック総合の主要3指数がそろって大幅反落し、原油高・長期金利上昇が嫌気されたことが東京市場全体の重荷となった。東証グロース市場指数は前日19日に+4.32%と大幅高で高値引けとなっていたため、この日は短期的な利益確定売り・戻り待ちの売りが出やすい地合いでもあった。もっとも、東証プライムで人工知能(AI)・半導体関連株の値動きがやや方向感を欠くなか、出遅れ修正を狙った資金が新興市場に向かいやすいとの見方もあり、朝方の売り一巡後は下値の堅い展開となった。
値上がり率上位10銘柄(前場終値ベース、前日20日終値比)
| 順位 | 銘柄 | コード | 前場終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ヒュマメイド | 456A | 1,662円 | +299.7円 | +22.0%(S高) |
| 2 | Defコンサルティング | 4833 | 66円 | +14.0円 | +26.9% |
| 3 | TORICO | 7138 | 172円 | +29.0円 | +20.3% |
| 4 | アーキテクツSJ | 6085 | 118円 | +14円 | +18.0% |
| 5 | 東京衡機 | 7719 | 505円 | +70.0円 | +16.1%(フィジカルAI関連の技術検証開始を発表) |
| 6 | WIZE | 3664 | 25円 | +3.0円 | +13.6% |
| 7 | ブランディングテクノロジー | 7067 | 1,128円 | +97.9円 | +9.5%(menu magazineを子会社化へ) |
| 8 | ワシントンHD | 4691 | 2,250円 | +185.8円 | +9.0% |
| 9 | トラースOP | 6696 | 328円 | +25.1円 | +8.3%(人工知能関連) |
| 10 | グロービー | 5575 | 1,284円 | +96.1円 | +8.1%(人工知能関連) |
※上表は8月21日前場終値(前引け時点)の8月20日終値に対する騰落率をもとにしており、大引け(最終)時点の数値とは異なる場合がある。前日比(円)は騰落率と前場終値から逆算した推定値であり、元記事に明記されていた数値ではない点に留意されたい。
ヒュマメイド(456A)は国内証券会社の新規カバレッジ開始が好感されてストップ高となり、この日のグロース市場を象徴する銘柄となった。仮想通貨関連銘柄(Defコンサルティング、TORICO等)も軒並み値を上げており、ビットコイン急騰(7万3,000ドル台へ)を背景とした資金流入が新興市場のテーマ株にも波及した。
値下がり銘柄・材料株
値下がり銘柄も多く、東証グロース市場全体としては値下がり優勢の一日となった。個別ではシンバイオ製薬(4582)などバイオ関連の一角に戻り売りが出た。
ストップ高・ストップ安(東証グロース含む全市場)
本日のストップ高は6銘柄、ストップ安は1銘柄(前引け時点では3銘柄・1銘柄)。ヒュマメイド(456A)はこの日のストップ高の代表格となった。
話題株・材料株の動き
- リンテック(4970):前日20日引け後、主要株主の日本製紙(3863)が保有株を売却すると発表したことが需給悪化懸念として悪材料視され、大幅反落
- フロンテオ(2158):七十七銀行へのAIデータ分析支援システム提供開始を発表し、しっかりとした値動き
- メタプラネット(3350):ビットコイン急騰を受け「トレジャリー企業」として物色が広がり、+19.0%まで買われる場面があった
為替市場
主要通貨ペアの四本値(8月20日〜21日、東京時間)
| 通貨ペア | 始値 | 高値 | 安値 | 終値(21日午後時点) |
|---|---|---|---|---|
| ドル円 | 158.17円 | 159.18円 | 158.03円 | 159.05円 |
| ユーロドル | 1.1677ドル | 1.1711ドル | 1.1669ドル | 1.1678ドル |
| ユーロ円 | 184.70円 | 185.84円 | 184.57円 | 185.75円 |
ドル円は前日20日に米財務省の長期国債買い戻し拡大発表を受けて一時158円割れを試す場面があったが、21日は米長期金利が10年債利回り4.71%台・30年債利回り5.26%台へ再上昇したことを受けて日米金利差の拡大を意識したドル買いが優勢となり、159.18円まで水準を切り上げた。米新規失業保険申請件数の予想下振れ(雇用環境の底堅さ)、8月フィラデルフィア連銀景況指数の上振れ、米国の対イラン制裁強化観測に伴う原油高、ベッセント財務長官の「強いドル政策」維持姿勢などが重なり、ドルの支援材料となった。国内では積極財政に伴う財政悪化懸念も根強く、円売り圧力を下支えしている。
21日午後の東京市場では、ドル円は158円86銭〜159円13銭のレンジでもみ合う展開となった。米長期金利がほぼ横ばいで推移するなか、ドル買いは一服。一方でユーロドルは1.17ドル付近まで上値を伸ばす場面があり、ユーロ円は185円67銭〜185円95銭のレンジで上昇基調を維持し、186円台をうかがう展開となった。なお、カナダドル円は115円52銭前後と大幅なカナダドル高・円安で推移している。
アジア市場
主要指数(8月21日、東京時間14:03時点)
| 指数 | 値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 香港ハンセン指数 | 25,872.60 | +174.11(+0.68%) |
| 中国上海総合指数 | 3,903.81 | +0.08(+0.00%、実質横ばい) |
| 台湾加権指数 | 45,037.17 | +103.43(+0.23%) |
| 韓国総合株価指数(KOSPI) | 6,905.82 | +53.24(+0.78%) |
| 豪ASX200指数 | 9,055.90 | -27.85(-0.31%) |
| インドSENSEX30種 | 77,558.81 | +21.09(+0.03%) |
※上記は21日東京時間14:03時点のスナップショットであり、各市場の大引け確定値ではない点に留意されたい。
アジア株は総じて上昇し、米国の市場安定化期待が支えとなった。ベッセント米財務長官が金融市場を支えるための「多くの手段」があると述べ、週末か週明けにも財政健全化策を公表する意向を示したことが好感された。もっとも、長期金利を本格的に押し下げるには米・イラン戦争の終結が不可欠との見方が根強く、ベッセント財務長官による長期債買い戻し拡大計画の効果は長続きせず、米長期金利は計画発表前の水準まで戻っている。米・イラン戦争が長期化するとの観測から原油価格も再び上昇しており、トランプ大統領はイランに対する「史上最も壊滅的」な経済措置を講じると発表、ベッセント財務長官は対イラン「壊滅的制裁」について24日に記者会見を開く予定となっている。
韓国市場ではサムスン電子が+1.9%高で推移し、最大790億ドル相当の株主還元計画を同日夕方に発表する見通しだと報じられたことが材料視された。もっとも、韓国株投資家にとっては来週予定される米エヌビディアの決算が最大の焦点であり、AIブームの持続性に疑問が生じるなか、期待外れの決算となれば半導体セクター比率の高いKOSPIの上値を抑える可能性がある点が意識されている。
来週にかけての注目点
来週26日に予定される米エヌビディアの決算発表が、AI・半導体セクター全体の先行きを占う最大の材料として意識されている。これを見極めたいとして積極的な買いを見送る向きもあり、当面は方向感に乏しい展開が続く可能性がある。また24日には米国がイランに対する経済制裁の詳細を公表する予定で、原油価格・地政学リスクの動向にも引き続き注意が必要だ。
本レポートは2026年8月21日時点の報道・市場データに基づいて作成しています。個別銘柄への言及は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて金融専門家にご相談ください。






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