サマリー
8月20日の米国市場は、財務省の長期債買い戻し策の効果一巡と長期金利の再上昇を受けて主要3指数がそろって大幅反落した。S&P500は7,641.16(前日比-66.82、-0.87%)、ダウ平均は52,759.21ドル(-703.84ドル、-1.32%)、ナスダック総合は26,067.17(-263.92、-1.00%)で取引を終えた。ダウ平均採用30銘柄のうち値上がりはマクドナルド(MCD)、トラベラーズ(TRV)など6銘柄にとどまり、ウォルマート(WMT)、ボーイング(BA)など24銘柄が値下がりした。個別銘柄では明暗が大きく分かれ、小売決算で失望売りとなったウォルマートが指数の重荷となる一方、農機大手ディア(DE)は好決算でS&P500の値上がり率トップとなるなど、決算を材料にした物色は活発だった。
主要指数(8月20日終値、再掲)
| 指数 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | 52,759.21ドル | -703.84ドル(-1.32%) |
| S&P500 | 7,641.16 | -66.82(-0.87%) |
| ナスダック総合指数 | 26,067.17 | -263.92(-1.00%) |
| NY金先物(12月限) | 4,574.76ドル | 続伸 |
| ドル円 | 159円00〜10銭 | – |
主要個別銘柄の終値・騰落率
| 銘柄 | コード | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|---|
| ウォルマート | WMT | 103.84ドル | -10.46ドル(-9.15%) |
| モルガン・スタンレー | MS | 207.45ドル | -6.78ドル(-3.16%) |
| ゴールドマン・サックス | GS | 1,001.95ドル | -19.70ドル(-1.92%) |
| バンクオブアメリカ | BAC | 61.86ドル | -1.31ドル(-2.07%) |
| アルコア | AA | 50.55ドル | -0.99ドル(-1.92%) |
| アップル | AAPL | 311.30ドル | -5.53ドル(-1.74%) |
| アルファベット | GOOG | 338.20ドル | -3.50ドル(-1.02%) |
| インテル | INTC | 92.13ドル | -0.67ドル(-0.72%) |
| キャタピラー | CAT | 815.39ドル | -0.76ドル(-0.09%) |
| メタ・プラットフォームズ | META | 545.83ドル | -0.20ドル(-0.03%) |
| ディア・アンド・カンパニー | DE | 620.94ドル | +40.31ドル(+6.9%、日中は+9%まで買われる場面も) |
ウォルマート急落:好決算でも既存店売上高の伸び鈍化が嫌気
小売最大手ウォルマート(WMT)は2026年5〜7月期(第2四半期)決算で売上高1,879億ドル、EPS0.81ドルといずれも市場予想(1,866億ドル、0.74ドル)を上回り、通期の売上高・調整後営業利益見通しも上方修正した。しかし米国内売上成長率が2020年以来の低水準となり、既存店売上高の伸び(燃料除く)が2.6%と約6年半ぶりの低水準にとどまったことが嫌気され、株価は寄り付き直後に一時7.3%安まで下落し、終値では9.15%安となった。連邦政府による薬価引き下げ交渉の影響で薬局部門が打撃を受けたことも響いた。同社CFOは、燃料価格高騰に関連して今年20億ドルの追加費用が生じる見通しも示している。ウォルマートに次いで、シャーウィン・ウィリアムズ(SHW)やホーム・デポ(HD)、ナイキ(NKE)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、メルク(MRK)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)など幅広い銘柄に売りが波及した。
ディア(DE):S&P500値上がり率トップ、農機大手が好決算で急伸
農業機械大手ディア・アンド・カンパニー(DE)は、2026会計年度第3四半期決算で1株利益5.10ドル、農業機械売上高約74億ドルとウォール街予想を上回り、純利益13億7,900万ドルを計上。通期純利益見通しを45億〜50億ドルのレンジに引き上げた。農機市場全体は穀物価格の低迷や高金利を背景に需要が振るわない状況が続いているにもかかわらず、好決算を受けて株価は前日比40.31ドル高の620.94ドルまで上昇(日中は一時639.00ドルまで買われる場面もあり、上昇率は+9%に達した)、この日のS&P500構成銘柄の中で値上がり率トップとなった。人工知能(AI)データセンターブームが新たなトラクター需要をけん引するとの楽観的な見通しも好感された。
マイクロン(MU):AI・メモリ研究に100億ドル投資を計画
フラッシュメモリ・半導体部品大手マイクロン・テクノロジー(MU)は、メモリおよびAIリサーチに100億ドルを投資する計画を示したことが好感され、買いを集めた。AI関連の需要拡大を見据えた積極投資が評価された形で、前日までのメモリセクター全体の調整局面からの反発の一角となった。
小売決算シーズン終盤:ターゲット・TJXも決算発表
ディスカウントストア2位のターゲット(TGT)は、四半期比較可能売上高が3.8%増、デジタル部門が8.7%増となり、通期売上高成長見通しを約5%に引き上げるなど長期低迷からの脱却を示す内容だったが、投資家の期待がさらに高かったため株価は決算後の時間外取引で軟調(152.34ドル、-0.09%)となった。同社株は年初来で56%上昇しており、好決算でも織り込み済みとの受け止めが優勢だった。オフプライス小売大手TJXカンパニーズ(TJX)は1株利益1.22ドルと市場予想(1.19ドル)を上回る決算を発表している。
半導体関連の動き:オープンAI決算が重荷に
前日19日夜に開示されたオープンAIの四半期決算が投資家の期待を下回ったと報じられたことが尾を引き、半導体株には戻り売りが出やすい地合いが続いた。エヌビディア(NVDA)、シスコ・システムズ(CSCO)なども軟調に推移した銘柄に含まれる。一方でマイクロンのような独自の強気材料を持つ銘柄は個別に買われるなど、AI関連株の中でも選別が進んだ一日だった。
暗号資産関連:法案期待で上昇
ビットコイン・トレジャリー会社のストラテジー(MSTR)と暗号資産取引プラットフォームのコインベース・グローバル(COIN)は、暗号資産に友好的な法案(クラリティー法)の可決に対する楽観的な見方を受けて買われた。トランプ大統領が19日、暗号資産分野の定義を明確にする方針を示したことも材料視された。
その他の個別材料
- クラウドストライク・ホールディングス(CRWD):最高技術責任者(CTO)の退社が報じられ下落
- アマゾン・ドット・コム(AMZN)、テスラ(TSLA):消費関連セクターへの売りの流れを受けて下落
- マクドナルド(MCD)、トラベラーズ(TRV):ダウ採用銘柄の中では数少ない上昇組
- ジョン・ディア(DE):前述の通りS&P500値上がり率トップ
- エスティローダー(EL):前日19日には複数年にわたる事業再建計画の進展が好感され大幅高となっており、化粧品セクター全体への好影響が続いた
セクター動向
株探・フィスコの報道によれば、この日のセクター別では不動産管理・開発およびエネルギーが上昇した一方、小売、食品・生活必需品小売は下落した。原油高(WTI先物は+2.46%の86.47ドル、通常取引終了後の時間外では87.69ドルまで上昇する場面も)の恩恵を受けたエネルギー株と、ウォルマート急落の余波を受けた小売・生活必需品セクターとで明暗が分かれた。金(NY金先物12月限は4,574.76ドルまで続伸)は、FOMC議事要旨を消化しつつも金融政策の先行き不透明感を背景に買いが優勢となった。
為替市場の動き
ニューヨーク外国為替市場でドル円は158円47銭から159円18銭まで上昇し、159円09銭で取引を終えた。原油高に加え、新規失業保険申請件数の改善やフィラデルフィア連銀製造業景況指数・景気先行指数の上振れを受けた金利上昇にドル買いが優勢となった。ベッセント財務長官が長期債買戻し拡大の可能性に言及した局面では一時ドル売りが優勢になったが、同時に「強いドル政策」の維持を表明したことでドル買いが再開した。ユーロドルは1.1695ドルから1.1669ドルまで下落し1.1678ドルで引け、ユーロ円は185円27銭から185円84銭まで上昇した。
来週にかけての注目点
22日に予定されるジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演を控え、決算発表シーズンの終盤戦として好業績銘柄への選別物色が続くかが焦点となる。マイクロンやディアのような積極的な成長・投資計画を示す企業と、ウォルマートのように消費の変調を示す企業とで株価反応が対照的だった点は、今後の物色の分かれ目を示唆している。半導体セクターはオープンAIの決算を巡る余波が続くかどうかも注視したい。
本レポートは2026年8月20日(現地時間)の取引終了時点の報道・市場データに基づいて作成しています。個別銘柄への言及は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて金融専門家にご相談ください。






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