サマリー
8月20日の東京市場は日経平均が890円高(+1.36%)と3営業日ぶりに反発し、東証プライム市場の値上がり銘柄比率は84.8%と全面高の様相となった。前日に大幅安となったAI・半導体の主力株への買い戻しが中心テーマとなる一方、金価格急伸を受けた非鉄金属株、化粧品・自動車・ゲームエンタメなど個別材料株にも物色が広がった。ストップ高は7銘柄に達し、値上がり率上位には+15%を超える銘柄も複数並んだ。
日経平均寄与度:押し上げ・押し下げ上位銘柄
押し上げ上位
| 順位 | 銘柄 | コード | コメント |
|---|---|---|---|
| 1 | ソフトバンクグループ | 9984 | 寄与度トップ、1銘柄で約128〜159円押し上げ(集計時点により差異)。前日の大幅安からの買い戻し中心 |
| 2 | ファーストリテイリング | 9983 | 値がさ株として指数を牽引。ソフトバンクGと2銘柄で約236円分押し上げ |
| 3 | アドバンテスト | 6857 | 前日の急落から半導体製造装置株への見直し買い |
| 4 | キオクシアホールディングス | 285A | メモリ関連の主力株として資金流入継続 |
| 5 | リクルートホールディングス | 6098 | グロース株全般への資金回帰の一角 |
| 6 | テルモ | 4543 | 医薬品・医療機器セクターの上昇を牽引 |
| 7 | 豊田通商 | 8015 | 商社株にも見直し買い |
押し下げ上位
| 順位 | 銘柄 | コード | コメント |
|---|---|---|---|
| 1 | 東京エレクトロン | 8035 | 寄与度下位トップ、1銘柄で約64〜100円押し下げ。半導体製造装置の一角に戻り売り継続 |
| 2 | イビデン | 4062 | 同じく半導体材料関連で利益確定売り |
| 3 | 京セラ | 6971 | 電子部品セクターの調整 |
| 4 | 村田製作所 | 6981 | 同上 |
| 5 | レーザーテック | 6920 | 半導体検査装置の一角も上値重い。なお同日、増収増益の決算を発表 |
| 6 | ローム | 6963 | パワー半導体関連も軟調 |
| 7 | HOYA | 7741 | 光学・電子材料関連も上値重い |
半導体セクター内でも、メモリ・ロジック関連(アドバンテスト、キオクシアHD)には買いが入る一方、製造装置・部品関連(東京エレクトロン、イビデン、レーザーテック、ローム、HOYA)には戻り売りが続くという、テーマ内でのねじれが見られた点が特徴的だ。
値上がり率ランキング(東証プライム、上位5銘柄)
| 順位 | 銘柄 | コード | 騰落率 | 材料 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | クオンツ・リサーチ | 9552 | +15.60% | 人工知能関連、ストップ高 |
| 2 | 松屋 | 8237 | +11.83% | 百貨店・小売関連の物色 |
| 3 | 住友金属鉱山 | 5713 | +10.97% | 金価格急伸を受けた「金関連株」として物色。米長期金利急低下でNY金先物が急上昇したことが背景。銅など非鉄金属市況の戻りも支援材料に |
| 4 | ギフティグループ | ― | +10.33% | ― |
| 5 | パークシャテクノロジー | 3993 | +10.28% | 東証プライム市場への市場変更準備を発表したことが好材料視され、3日ぶり反発 |
住友金属鉱山〈5713〉は、前日19日に米財務省が長期国債買い戻し枠の拡大を発表し、超長期ゾーンの需給引き締まり観測から米長期金利が急低下、金利のつかない資産である金先物相場が急上昇したことを受けて「金関連株」として買いを集めた。三井金属〈5706〉、三菱マテリアル〈5711〉、東邦亜鉛〈5707〉、DOWAホールディングス〈5714〉など非鉄金属株も軒並み高となり、LME銅価格の約1カ月ぶりの高値接近も追い風となった。
値下がり率ランキング(東証プライム、上位5銘柄)
| 順位 | 銘柄 | コード | 騰落率 | 材料 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | さくらインターネット | 3778 | -8.81%(-9.45%との報道もあり) | 不正アクセス問題が顧客情報にも影響する可能性が報じられ大幅続落 |
| 2 | FIG | 4392 | -7.27%(-8.34%との報道もあり) | 半導体製造装置関連、前日までの急騰からの反動 |
| 3 | 大和工業 | 5444 | -3.87%(-4.03%との報道もあり) | 材料不明、利益確定売りとみられる |
| 4 | リテールパートナーズ | ― | -3.84% | ― |
| 5 | あおぞら銀行 | ― | -3.14% | 金利低下を受けた銀行株全般への売り圧力の一角 |
全体が大幅高となるなかでも、個別材料(さくらインターネットの不正アクセス問題など)で大きく売られる銘柄があった点には注意が必要。
ストップ高銘柄(7銘柄)
| 銘柄 | コード | 市場 | テーマ・材料 |
|---|---|---|---|
| WT商品総合 | 1684 | 東証ETF | 一時ストップ高 |
| Schoo | 264A | 東証グロース | 一時ストップ高 |
| Aバランス | 3856 | 東証スタンダード | 一時ストップ高、前日もストップ高 |
| monoAI technology | 5240 | 東証グロース | 人工知能関連 |
| ティアフォー | 593A | 東証グロース | 自動運転車関連。終値1,033円(+150円、+17.0%) |
| 誠建設 | 8995 | 東証スタンダード | 一時ストップ高 |
| クオンツ・リサーチ | 9552 | 東証プライム | 人工知能関連 |
ティアフォーとよく比較される自動運転・AI関連の銘柄として、パークシャ〈3993〉、ヴィッツ〈4440〉、ダイナマップ〈336A〉、Kudan〈4425〉、リッジアイ〈5572〉なども市場の関心を集めた。
セクター別トピック
金・非鉄金属関連
住友金属鉱山を筆頭に、金価格急伸を受けた金関連株、および銅市況の戻りを受けた非鉄金属株全般に資金が向かった。米金利低下がドル建て資産である金の相対的な魅力を高めた構図。
化粧品:資生堂が大幅続伸
米化粧品大手エスティローダーが発表した今期の利益見通しが市場予想を上回ったことを受け、資生堂〈4911〉に買いが広がり、大幅続伸となった。海外同業の業績改善が国内株にも波及する「決算リンク」の典型例。
ゲーム・エンタメ:好調な月次売上高でGENDAが急伸
- GENDA〈9166〉:前日19日引け後に発表した2026年7月度売上高が前年同月比+30.1%の201億1,600万円と大幅増収となったことが好感され、大幅高(+8.9%、799円)
- タカラトミー〈7867〉、ブシロード〈7803〉、ハピネット〈7552〉、フリュー〈6238〉、ラウンドワン〈4680〉、イオンファンタジー〈4343〉:いずれも高い
- サンリオ〈8136〉:岡三証券が投資判断「中立」を継続しつつ目標株価を1,200円から1,260円に引き上げたとの観測に加え、同日発表の決算も増収増益となったことが好感され反発
- フリー〈4478〉:グロース市場の中でも反騰の動きが目立った銘柄の一つ
一方、KADOKAWA〈9468〉、**TOブックス〈500A〉**は軟調だった。
決算関連
この日は決算発表銘柄も多く、日経会社情報によればレーザーテック〈6920〉、**サンリオ〈8136〉**が増収増益、**KOKUSAI ELECTRIC〈6525〉**が業績予想の上方修正を発表した。
東証グロース市場:ストップ高が相次ぐ
東証グロース市場は値上がり銘柄数480、値下がり銘柄数82と値上がりが優勢だった。年初来高値を更新した15銘柄にはJSH〈150A〉、Heartseed〈219A〉、ドリコム〈3793〉、シャノン〈3976〉、**シェアリングテクノロジー〈3989〉**などが含まれる。
一方、値下がり率上位にはシンバイオ製薬〈4582〉(年初来安値を更新)、チャットプラス〈598A〉、エブリー〈607A〉、**フレアス〈7062〉**などが並んだ。
為替・金利環境(個別株への波及)
米財務省の長期国債買い戻し拡大発表を受けた日米金利低下と、それに伴うドル安・円高(158円台前半)が、この日の個別株物色の土台となった。金利低下の恩恵を受けやすいグロース株・高PER銘柄(AI・半導体・ゲームエンタメ関連)、金価格上昇に連動する非鉄金属株、そして円高一服・金利低下による業績期待から見直しが入った内需株(自動車・建設・化粧品)と、幅広いテーマに資金が向かう相場となった。一方で金利低下が逆風となりやすい銀行株(あおぞら銀行など)には売りが出ており、セクター間での明暗も分かれた。
来週にかけての注目点
半導体製造装置関連の一角(東京エレクトロン、イビデン、レーザーテックなど)に続いている戻り売りが一巡するかどうかが、AI・半導体セクター全体の次のトレンドを占う鍵となりそうだ。22日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演の内容次第では、金利敏感株・グロース株の値動きが大きくなる可能性がある。決算発表シーズンの後半戦として、好業績を発表する個別企業への物色が続くか、また金・非鉄金属関連への資金流入がどこまで続くかにも注目したい。
本レポートは2026年8月20日時点の報道・市場データに基づいて作成しています。個別銘柄への言及は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて金融専門家にご相談ください。





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