サマリー
8月27日(木)のニューヨーク株式市場は主要3指数がそろって反発した。前日26日の取引終了後に決算を発表したエヌビディアが好決算・強気の見通しを好感して大幅高となり、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数を押し上げた。同じく好決算を発表したセールスフォースも急伸し、ソフトウエア関連株全般への物色が広がった。もっとも、トランプ政権が半導体・電子機器の一部への追加関税を検討していると報じられ、AMDなど一部の半導体株には上値を抑える動きもみられた。市場の関心は翌28日にワイオミング州ジャクソンホールで予定されるウォーシュFRB議長の講演に移っている。
主要指数(8月27日終値、米国時間)
| 指数 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | 53,569.44ドル | +105.56ドル(+0.19%) |
| S&P500 | 7,730.99 | +55.29(+0.72%) |
| ナスダック総合指数 | 26,541.35 | +411.16(+1.57%) |
エヌビディア決算、株価は一時10%近く上昇
前日26日に決算を発表したエヌビディア(NVDA)は、2026年5〜7月期の売上高・8〜10月期の売上高見通しがいずれも市場予想を上回り、2028年1月期通期でも7割増収になるとの見方を示した。人工知能(AI)インフラ需要の強さが改めて意識され、株価は一時10%近く上昇する場面があった。この流れを受けて、ダウ平均の構成銘柄以外ではブロードコムやインテルなど半導体株の一角にも買いが波及した。
クラウドストライク:過去最高の四半期業績で13%超急伸
サイバーセキュリティー大手クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)は、前日26日の通常取引終了後に発表した2027年度第2四半期(5〜7月期)決算で、売上高が前年同期比25.8%増の14億7,089万ドルとなり、市場予想(約14億4,000万ドル)を上回った。最終損益は530万ドルの黒字に転換し、前年同期の7,015万ドルの赤字から大幅改善。1株損益(EPS、希薄化後)も0.01ドルの黒字(前年同期0.07ドルの赤字)となった。年間経常収益(ARR)は25%増の58億4,000万ドルに達し、このうち純新規ARRは過去最高の3億3,300万ドルを記録した。
27日の取引序盤、クラウドストライク株は13.4%高の約214.70ドルを付け、2025年4月(16.3%高)以来最大の日中上昇率を記録する勢いを見せた。同社CEOはAIの脅威が高まるなか「史上最大の市場機会」によって過去最高の四半期業績を達成したと説明しており、AIセキュリティー需要の強さが改めて評価された形だ。
セールスフォース:純利益87%増で最高更新
ソフトウエア大手セールスフォース(CRM)は、5〜7月期(第2四半期)決算で最終利益が前年同期比87%増となり過去最高を更新、売上高も11%増で過去最高となった。好決算を受けて株価は急伸したが、その後アフターマーケット(時間外取引)では251.65ドル(-0.15%)とわずかに軟化する場面もみられた。
その他の決算発表銘柄
- アジレント・テクノロジーズ(A):2026年度第3四半期決算で増収増益、売上高8%増の18億7,000万ドル、営業利益23%増の4億4,400万ドル、EPS1.28ドル
- オクタ(OKTA):企業向けID管理システムを手掛ける同社も決算を好感し急伸
- シノプシス(SNPS):半導体設計ソフト大手、決算を材料に急伸
AI関連の大型契約・投資ニュース
アンソロピックは、英AIクラウド大手エヌスケールと6年間450億ドル規模の契約を締結したと発表した。AI関連インフラを巡る大型契約が相次いでおり、AIブームの持続性を占う材料として引き続き注目されている。
半導体関税観測がAMDなどの重荷に
一方、米ニュースサイトのポリティコは27日、トランプ政権が半導体や電子機器の一部への追加関税を検討していると報じた。この報道を受け、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)など関連銘柄の上値が抑えられる場面があった。エヌビディアの好決算という追い風がある中でも、通商政策を巡る懸念が半導体セクター内での銘柄選別につながった形だ。
指数寄与度:エヌビディア1銘柄で時価総額4,350億ドル増、実勢は「平均株安」
この日の株価指数の上昇は、エヌビディア1銘柄による押し上げ効果が際立って大きかった。エヌビディアは決算を受けて株価が8.5〜8.7%上昇し、同社の時価総額は1日で約4,350億ドル(約65兆円)増加した。エヌビディアはナスダック総合指数・S&P500の両方で大きなウエートを占める銘柄であり、その株価上昇だけでS&P500の押し上げ寄与のかなりの部分を占めた形だ。
もっとも、S&P500構成銘柄を均等加重した「イコールウエイト指数」は同日-0.16%と下落しており、通常の時価総額加重ベースのS&P500上昇(+0.72%)とは対照的な動きとなった。これは、値がさの一部の銘柄(エヌビディア、クラウドストライク、セールスフォースなど好決算を発表した銘柄)が指数を押し上げる一方、構成銘柄の平均(中央値)としては下落していたことを意味し、相場の「見た目の強さ」ほど広範な物色が伴っていなかったことを示唆している。半導体の中でもメモリー関連株は相場全体を下回るパフォーマンスとなるなど、値動きの二極化がみられた。
個別銘柄の指数への寄与
- エヌビディア(NVDA):+8.5〜8.7%。中国向けデータセンター向け売上高をゼロと見込む保守的なガイダンスを示しつつ、それでも市場予想を上回る第3四半期見通し(1,080億ドル)を提示したことが評価された。ナスダック総合・S&P500双方の押し上げに最も貢献
- クラウドストライク(CRWD):決算後の分割後株価で見て約10%上昇。ナスダック総合の押し上げに寄与
- セールスフォース(CRM):AI製品の好調とアンソロピックとの提携拡大を背景に一時20%急伸。ダウ平均・S&P500双方の押し上げに寄与
- オクタ(OKTA):AIエージェントのセキュリティ需要を背景に通期見通しを引き上げ、約25%急騰
- HP(HPQ):通期見通しを上方修正したにもかかわらず、印刷事業の数量減少とメモリコスト上昇が嫌気され約9%下落。ダウ平均の押し下げ要因の一つ
- ウェンディーズ(WEN):トライアン・ファンド・マネジメントが非公開化計画を断念したとの報道を受け急落
- マーベル・テクノロジー(MRVL):決算で売上高が前年同期比37%増の27億3,900万ドルと過去最高を更新し市場予想を上回ったにもかかわらず、株価は一時3%超下落。好決算でも「材料出尽くし」的な反応となった一例
GAFAM(大型ハイテク5社)の動き
| 銘柄 | コード | 終値 | 前日終値 | 前日比 |
|---|---|---|---|---|
| アップル | AAPL | 314.20ドル | 313.45ドル | +0.75(+0.24%) |
| マイクロソフト | MSFT | 504.30ドル | 496.37ドル | +7.93(+1.60%) |
| アルファベット(Class A) | GOOGL | 340.92ドル | 342.00ドル | -1.08(-0.32%) |
| アルファベット(Class C) | GOOG | 337.75ドル | 339.10ドル | -1.35(-0.40%) |
| アマゾン・ドット・コム | AMZN | 256.26ドル | 260.28ドル | -4.02(-1.54%) |
| メタ・プラットフォームズ | META | 571.10ドル | 576.14ドル | -5.04(-0.87%) |
GAFAM5社の反応は分かれた。マイクロソフトは+1.60%と大きく上昇し、日経平均含む複数の記事で「マイクロソフトなどが上昇した」と言及されている内容と整合する。一方、アルファベットはClass A・Class Cともにわずかに下落(-0.3〜0.4%程度)し、メタ・プラットフォームズも-0.87%と軟化した。アマゾンは-1.54%とGAFAM5社の中で最も下落率が大きく、決算を発表したエヌビディア・クラウドストライク・セールスフォースなど「AI関連の当日決算組」に資金が集中し、GAFAM全体としてはやや見劣りする動きとなった。アップルはほぼ横ばい(+0.24%)だった。GAFAM5社中プラスはアップル・マイクロソフトの2社のみで、コミュニケーション・サービス系(アルファベット、メタ)と一般消費財のアマゾンは軒並みマイナスとなり、この日はAI決算銘柄への資金シフトがGAFAM全体の重荷になった可能性がある。
来週にかけての注目点
市場の最大の関心は、翌28日にワイオミング州ジャクソンホールで開催されるFRB年次シンポジウムでのウォーシュ議長講演に移っている。長期金利の上昇を受けて金融政策の先行きに関する発言があるか、市場は注視している。エヌビディア決算を受けたAI関連株への物色の広がりが持続するか、また半導体関税を巡る動向が半導体セクター全般にどう影響するかも、引き続き焦点となりそうだ。
本レポートは2026年8月27日(米国時間)の取引終了時点の報道・市場データに基づいて作成しています。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて金融専門家にご相談ください。




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