日本市場レポート:日経平均は11円安と小幅に3日続落、一時890円安から急速に下げ渋り TOPIXは反発(2026年10月9日)

Daily Market News

サマリー

10月9日(金)の東京株式市場で日経平均株価は小幅に3日続落し、前日比11円19銭(-0.02%)安の69,030.92円で取引を終えました。前日の米国市場でハイテク株が売られ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3%超下落した流れを受けて売りが先行し、取引時間中には一時68,150.02円(前日比約890円安)まで下げました。ただ、前日までの2日間で1,600円超下げていたことから押し目買いが入り、後場は下げ幅を急速に縮め、大引け間際には一時プラスに転じる場面もありました。

指数を押し下げたのは、前日発表の決算が嫌気されたファーストリテイリング(9983)と、AI関連の悪材料に反応したソフトバンクグループ(9984)の2銘柄で、合計約436円の押し下げでした。一方、アドバンテスト(6857)と東京エレクトロン(8035)の半導体2銘柄が合計約276円押し上げ、相場を支えました。TOPIXは+0.33%と3日ぶりに反発し、東証プライム市場では全体の約77%の銘柄が上昇するなど、日経平均の見た目以上に幅広い銘柄が買われた1日でした。

主要指数(10月9日大引け)

指数終値前日比騰落率
日経平均株価69,030.92円-11.19円-0.02%
TOPIX4,104.81+13.35+0.33%
東証グロース市場指数1,026.50+14.03+1.39%
東証グロース市場250指数806.62+11.87+1.49%
  • 日経平均の始値は68,648.50円(前日比-393.61円)、取引時間中の安値は68,150.02円で、取引時間中に6万9,000円を割り込むのは約1週間ぶり
  • 前場の終値は68,512.30円(前日比-529.81円)。後場に入って下げ幅を縮め、大引け間際に一時プラス圏に浮上した
  • 東証プライム市場の売買代金は7兆8,454億円、売買高は22億9,519万株
  • 東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の76.9%、値下がりは21.3%
  • 日経平均の構成銘柄は値上がり148(寄与度の合計+678.10円)、値下がり74(同-689.29円)、変わらず3
  • 10月限の株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)の値は68,465.23円(推定値)。SQは先物・オプションの決済に使う価格のこと

TOPIXと日経平均の騰落率の差(TOPIXは+0.33%、日経平均は-0.02%)が示すように、この日の日経平均は値がさの2銘柄に大きく引っ張られた形です。値がさ株とは株価が高く、日経平均への影響が大きい銘柄のことです。

値動きの背景

前日8日の米国市場は、主要指数の方向がそろいませんでした。NYダウは51.77ドル高の51,231.64ドルと小幅に上昇した一方、ナスダック総合指数は345.35ポイント安(-1.25%)の27,193.34、SOX指数は442.43ポイント安(-3.39%)の12,623.72と大きく下げました。

ハイテク株の重荷になったのは2つの材料です。

1つ目は、OpenAIの年換算売上高が、これまで示唆されていた水準を約200億ドル下回るとの英紙報道です。AI事業の収益化に疑問が出て、AI・半導体関連株が売られました。

2つ目は原油高です。中東情勢の緊張から米原油先物は8日に1バレル90.76ドルまで上昇し、9日の時間外取引では一時93ドル近辺まで上がりました。インフレ(物価上昇)の再燃と景気減速の両方が意識されました。

東京市場ではこの流れを受け、OpenAIに出資するソフトバンクグループ(9984)が一時7%超下げ、日経平均の下げ幅も一時800円を超えました。ただ、その後「OpenAIの売上高を巡る懸念は計算方法の違いによるもので、事業の実態が悪化したわけではない」との見方が広がり、AI関連株への売りは和らぎました。トランプ大統領が中間選挙前の攻撃を否定したことで米長期金利が低下に転じたことや、時間外取引でナスダック100先物が上昇したことも後場の買い戻しを後押ししました。

一方、翌10日からは土日とスポーツの日(12日)の3連休です。連休中の海外市場の変動を警戒して、上値を積極的に買う動きは限られました。

日経平均寄与度(押し上げ上位)

銘柄(コード)終値前日比騰落率寄与度
アドバンテスト(6857)41,610円+680円+1.66%+146.71円
東京エレクトロン(8035)12,445円+255円+2.09%+128.94円
リクルートホールディングス(6098)17,755円+555円+3.23%+56.13円
コナミグループ(9766)23,120円+790円+3.54%+26.63円
レーザーテック(6920)48,560円+1,950円+4.18%+26.29円
ソニーグループ(6758)3,814円+108円+2.91%+18.20円
SCREENホールディングス(7735)16,545円+635円+3.99%+17.12円
日東電工(6988)3,615円+89円+2.52%+15.00円
ファナック(6954)6,103円+84円+1.40%+14.16円
ベイカレント(6532)8,748円+402円+4.82%+13.55円

※騰落率は終値と前日比から算出

押し上げ上位5銘柄の寄与度は合計約385円でした。注目は半導体製造装置株の切り返しです。アドバンテスト(6857)と東京エレクトロン(8035)は朝方こそ前日の米SOX指数安を嫌気して売られましたが、AI関連への懸念が和らぐと買い戻され、プラスで引けました。レーザーテック(6920)、SCREENホールディングス(7735)、KOKUSAI ELECTRIC(6525、+276円)も上昇し、前日までの2日間の急落からの自律反発(売られすぎの反動による上昇)の色合いが濃くなりました。

前日に続いて、リクルートホールディングス(6098)、ベイカレント(6532)、トレンドマイクロ(4704、+355円)、野村総合研究所(4307、+272円)などのソフトウエア・ITサービス株も堅調でした。コナミグループ(9766)、ソニーグループ(6758)、バンダイナムコホールディングス(7832、+112円)、任天堂(7974、+295円)などゲーム・エンターテインメント株にも買いが続きました。

日経平均寄与度(押し下げ上位)

銘柄(コード)終値前日比騰落率寄与度
ファーストリテイリング(9983)71,780円-3,020円-4.04%-244.33円
ソフトバンクグループ(9984)5,803円-237円-3.92%-191.75円
TDK(6762)3,268円-85円-2.54%-42.98円
イビデン(4062)11,515円-295円-2.50%-39.78円
キオクシアホールディングス(285A)17,505円-395円-2.21%-27.96円
村田製作所(6981)7,970円-297円-3.59%-24.03円
フジクラ(5803)5,413円-99円-1.80%-20.02円
豊田通商(8015)7,121円-88円-1.22%-8.90円
中外製薬(4519)6,019円-88円-1.44%-8.90円
テルモ(4543)2,284円-24.5円-1.06%-6.61円

※騰落率は終値と前日比から算出

押し下げ上位5銘柄の寄与度は合計約547円で、うちファーストリテイリング(9983)とソフトバンクグループ(9984)の2銘柄だけで約436円に達しました。

ファーストリテイリング(9983)は大幅反落です。8日大引け後に発表した2026年8月期の営業利益は7,431億円と増益でしたが、2027年8月期の計画(営業利益8,300億円、純利益は前期比3%増の5,600億円)が市場の期待に届かず、失望売りが出ました。

ソフトバンクグループ(9984)は大幅続落です。OpenAIの売上高を巡る報道が直撃し、一時7%超下げました。その後は下げ幅を縮めたものの、2日連続で日経平均の押し下げ寄与度トップ2に入りました。

TDK(6762)、村田製作所(6981)、イビデン(4062)、キオクシアホールディングス(285A)、フジクラ(5803)などAIサーバー向けの電子部品・メモリー・電線株も売られ、半導体製造装置株との明暗が分かれました。テルモ(4543)は、血漿(けっしょう)採取装置の供給契約の解除と、営業利益予想の2,575億円から1,600億円への下方修正を発表し、大幅に続落しました。

東証プライム市場:業種別動向

東証33業種のうち25業種が上昇し、8業種が下落しました。

  • 上昇率上位:海運業、その他製品、サービス業、食料品
  • 下落:銀行業、非鉄金属、小売業、ガラス・土石製品など

海運業は中東情勢を背景とした運賃上昇への期待から、2日続けて堅調でした。その他製品には任天堂(7974)やバンダイナムコホールディングス(7832)、サービス業にはリクルートホールディングス(6098)やベイカレント(6532)が含まれ、寄与度上位の銘柄と重なっています。食料品は味の素(2802、+106円)やJT(2914、+270円)が上昇し、ディフェンシブ(景気に左右されにくい)銘柄への買いが目立ちました。

下落業種では、小売業がファーストリテイリング(9983)の大幅安に引っ張られました。銀行業は国内長期金利の低下(10年物国債利回りは3.006%)が重荷となり、非鉄金属はフジクラ(5803)、住友電気工業(5802、-37.5円)、古河電気工業(5801、-124円)などAIデータセンター関連の電線株が売られました。

決算・材料で動いた主な銘柄

銘柄(コード)終値前日比騰落率材料
ローツェ(6323)5,134円+700円+15.79%ストップ高。2027年2月期の営業利益予想を381億円から531億円に上方修正、年間配当も20円から28円に増額
アイビー化粧品(4918)325円+28円+9.43%上半期と通期の営業利益予想を上方修正
オンワードホールディングス(8016)741円+42円+6.01%創業100周年記念配当3円を含め、年間配当を33円から36円に引き上げ
吉野家ホールディングス(9861)3,950円+203円+5.42%上半期営業利益は57.8億円(前年同期比30.3%増)。通期予想を85億円から100億円に上方修正し、年間配当も22円から24円に増額
乃村工芸社(9716)1,215円+39円+3.32%上半期の受注高が920億円(同21.1%増)と過去最高水準。6〜8月期は増益に転換
東宝(9602)1,554.5円約+12円+0.8%映画「ちいかわ」の興行収入が170億円を超え、国内の歴代14位に入ったことが好感された
ウェザーニューズ(4825)1,901円-46円-2.36%第1四半期の純利益が前年同期比12%減。通期予想は据え置き
ニデック(6594)2,010円約-131円-6.1%外資系証券が投資判断を「買い」から「中立」に、目標株価を2,800円から2,400円に引き下げ
シリコンスタジオ(3907)1,545円-195円-11.21%通期の営業損益予想を2億円の赤字から2.7億円の赤字に下方修正

※騰落率と一部の前日比(東宝、ニデック)は、終値と騰落率・前日比から逆算

ローツェ(6323)は、半導体ウエハーの搬送装置を手がける会社です。生成AI向けの半導体投資が続くなか、上期の営業利益が231億円(前年同期比42.4%増)と大きく伸び、通期予想を一気に4割近く引き上げたことで、寄り付きから買いが殺到しストップ高(1日の値幅制限の上限)まで買われました。日経平均が下げる場面でも、決算の良い銘柄には資金がしっかり向かったことを示す1日でした。

吉野家ホールディングス(9861)は、商品施策や集客キャンペーンの効果に加え、コスト管理による効率化が利益を押し上げました。外食株の中でも業績の上振れがはっきりした銘柄として、大幅続伸となりました。

材料・テーマ別の物色動向

  • 半導体製造装置:アドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)、レーザーテック(6920)、SCREENホールディングス(7735)、KOKUSAI ELECTRIC(6525)がそろって反発。前日の米SOX指数安を跳ね返した
  • AIサーバー部品・電線・メモリー:TDK(6762)、村田製作所(6981)、イビデン(4062)、キオクシアホールディングス(285A)、フジクラ(5803)、古河電気工業(5801)は続落。同じAI関連でも、製造装置と部品・素材で明暗が分かれた
  • ソフトウエア・ITサービス:リクルートホールディングス(6098)、ベイカレント(6532)、トレンドマイクロ(4704)、野村総合研究所(4307)が2日続けて上昇。AI関連のハード株から資金が移る動きが続いた
  • ゲーム・エンターテインメント:コナミグループ(9766)、ソニーグループ(6758)、任天堂(7974)、バンダイナムコホールディングス(7832)、東宝(9602)が上昇
  • 決算・上方修正:ローツェ(6323)、吉野家ホールディングス(9861)、オンワードホールディングス(8016)など、8月決算・2月決算企業の好決算に買いが集まった

東証グロース市場

東証グロース市場250指数は806.62(+11.87、+1.49%)、東証グロース市場指数は1,026.50(+14.03、+1.39%)と、ともに3日ぶりに大きく反発しました。時価総額上位20銘柄で構成する東証グロース市場Core指数も+1.96%と上昇しました。値上がりは345銘柄、値下がりは195銘柄、変わらずは43銘柄で、250指数の売買代金は3,713億円でした。

グロース指数は前日までの続落で3.34%下げていたため、押し目買いが入りやすい状況でした。AI関連や主力半導体株が手掛けにくいなかで、個人投資家の資金が新興市場に向かいました。国内金利の低下も、将来の成長を評価されやすい新興株の支えになりました。

値上がり率上位(大引け)

銘柄(コード)終値前日比騰落率
ハイブリッドテクノロジーズ(4260)289円+80円+38.28%
サイバートラスト(4498)1,572円+300円+23.58%
TWOSTONE&Sons(7352)442円+80円+22.10%
クリングルファーマ(4884)645円+97円+17.70%
サンバイオ(4592)1,019円+150円+17.26%
Aiming(3911)195円+28円+16.77%
ELEMENTS(5246)1,065円+150円+16.39%
アクリート(4395)819円+77円+10.38%
サイバーセキュリティクラウド(4493)3,700円+340円+10.12%
HENNGE(4475)1,894円+159円+9.16%

値下がり率上位(大引け)

銘柄(コード)終値前日比騰落率
GRCS(9250)1,280円-317円-19.85%
ZenmuTech(338A)4,755円-935円-16.43%
ハンモック(173A)1,820円-342円-15.82%
ジィ・シィ企画(4073)663円-108円-14.01%
エルテス(3967)687円-64円-8.52%
Welby(4438)292円-27円-8.46%
サイバーソリューションズ(436A)1,903円-158円-7.67%
Fusic(5256)3,710円-290円-7.25%

話題株

  • Aiming(3911):新作ゲーム「ホロライブ麻雀-ホロじゃん-」のタイトル発表と事前登録の開始が材料となり、+16.77%と急伸
  • TWOSTONE&Sons(7352):前日のストップ高に続いて買いが続き、+22.10%
  • HENNGE(4475):25日移動平均線(過去25日間の平均株価)が下値の支えとして意識され、+9.16%と反発
  • サイバーセキュリティ関連の明暗:前日にストップ高をつけたハンモック(173A)、ZenmuTech(338A)、サイバーソリューションズ(436A)は反動で大きく売られた。一方、サイバーセキュリティクラウド(4493)やサイバートラスト(4498)は上昇し、テーマ内で物色が入れ替わった
  • FRONTEO(2158):722円(+47円)と大幅反発

為替市場

通貨ペア東京時間の取引レンジ(16時3分時点)
ドル円157円76銭〜158円25銭
ユーロ円176円98銭〜177円71銭
ユーロドル1.1210〜1.1243ドル

ドル円は16時過ぎに158円25銭近辺と、この日の高値圏で推移しました。午前中は高市首相の発言をきっかけに一時円が買われ、157円76銭まで下げました。その後は米10年債利回りの低下を背景にドル売りが続いたものの、ユーロや豪ドルなど主要通貨が円に対して強含んだことで、クロス円(ドル以外の通貨と円の組み合わせ)の上昇にドル円も引っ張られました。

金利面では、日本の10年物国債利回りが3.006%、米10年債利回りが5.24%近辺で、日米の長期金利差は約2.2%あります。この金利差が引き続き円安・ドル高を支える構図です。

アジア市場

9日のアジア市場は、地域によって明暗が分かれました。香港株は原油高の一服で安心感が広がり、HSBCなど金融株が買い戻されて午前中に反発しました。一方、上海株は消費の低迷に、英国やEUの規制を巡る報道が重なり、取引時間中に約2カ月半ぶりの安値をつけました(いずれも日本時間14時半前後までの途中経過で、大引けの確定値ではありません)。

来週にかけての注目点

  • 3連休中の海外市場:今晩の米国では10月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)とデルタ航空(DAL)の決算発表を控える
  • 安川電機(6506)の決算:9日大引け後に発表。中国の設備投資やロボット需要の動向を映すため、週明けの機械株・FA(工場自動化)関連株を左右する可能性
  • 来週はASML、TSMC(2330)が決算を発表予定。今週の東京市場では半導体製造装置株と電子部品株で明暗が分かれただけに、AI向け半導体投資の先行きを確かめる大きな材料となる
  • 米大手銀行の決算発表が来週から本格化
  • 中東情勢と原油価格:米原油先物は一時93ドル近辺まで上昇しており、インフレ懸念を通じて日米の金利に影響しやすい
  • 日経平均は前日までの2日間で1,600円超下げた後、取引時間中の安値から900円近く戻した。週明けに7万円台を回復できるかが焦点

本レポートは2026年10月9日時点の市場データ・報道に基づいて作成しています。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて金融専門家にご相談ください。

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