海外株投資の7つの落とし穴
「米国株はずっと右肩上がりだから、今すぐ買えばいい」「SNSで話題の海外銘柄に乗り遅れたくない」——そんな気持ちで海外株投資をはじめようとしていませんか。確かに、海外株には魅力的なリターンの可能性があります。しかし同時に、日本株にはない特有のリスクや落とし穴がたくさん存在しています。知識がないまま投資すると、せっかく利益が出ていても実際には損をしていた、というケースも珍しくありません。この記事では、資産運用初心者が特に陥りやすい「海外株投資の7つの落とし穴」を、具体的な事例や対策とともに詳しく解説します。最後まで読んでいただければ、海外株投資の全体像と正しい心構えが身につきます。
今、日本で「海外株投資」が急速に広まっている理由
2024年から始まった新NISA制度の普及、そして2025年にかけての米国株市場の大幅上昇を背景に、日本でも海外株投資に取り組む個人投資家が急増しています。証券口座の開設数は過去最高水準を更新し、特に20〜40代の若い世代を中心に、米国株や全世界株式のインデックスファンドへの投資が一般化しつつあります。
野村証券などの大手金融機関も「2026年も世界経済の拡大が続く見通しで、株式を中心としたリスク資産への投資が有力な選択肢」と見解を示しており、海外株への関心は今後もさらに高まることが予想されます。
しかしここで一度立ち止まって考えてほしいのです。「人気がある=安全」とは限りません。むしろ多くの人が熱狂しているときこそ、冷静にリスクを確認することが重要です。以下では、海外株投資に潜む7つの主要な落とし穴を、一つひとつ丁寧に見ていきましょう。
海外株投資で最初に理解すべきリスクが為替リスクです。米国株に投資する場合、日本円をドルに換えて株を買い、売却時にはドルを円に戻します。この過程で、円高ドル安が進むと、株価が上昇していても円換算のリターンがマイナスになることがあります。
1ドル=150円のときに、1万ドル分の米国株を購入(投資額150万円)。その後、株価が10%上昇して1万1,000ドルになった。しかし同時に円高が進み1ドル=130円になっていた場合——
売却益:1万1,000ドル×130円=143万円
投資額150万円に対して143万円の回収となり、株価は上がっているのに7万円の損失になってしまいます。
2025年の為替相場を見ると、年前半は日米金利差の縮小期待から一時1ドル=140円台まで円高が進み、後半は再び円安に戻るという激しい動きがありました。2026年も引き続き、米国の金融政策や日銀の利上げ動向次第で為替は大きく変動すると予想されています。
また、三井住友DSアセットマネジメントが指摘するように、景気悪化局面では「米国株安+円高」のダブルパンチが起きやすいという点も重要です。株が下がるタイミングほど円高が進みやすいため、日本人投資家は米国人投資家よりも厳しい状況に追い込まれる可能性があります。
為替の動きは株価の動きより読みにくいとされています。「今は円安だから安心」と思っていても、短期間で大きく動くのが為替市場の特徴です。
長期・積立・分散投資(ドルコスト平均法)で時間的な分散を図ることが有効です。毎月一定額を定期的に投資することで、高いときも安いときも平均的な価格で購入でき、為替タイミングのリスクを和らげることができます。また、為替ヘッジ型のファンドを活用する方法もありますが、ヘッジコストがかかる点に注意が必要です。
為替変動が資産に与える影響イメージ
※投資期間が長くなるほど、株価の成長が為替の影響を上回りやすくなりますが、それでも為替リスクはゼロにはなりません。
海外株投資で配当金を受け取ると、投資先の国と日本の両方で税金がかかる「二重課税」が発生することがあります。これは多くの初心者が見落としがちな落とし穴です。
たとえば米国株の配当金には、まず米国で10%の源泉徴収税が差し引かれます。そのうえで日本に送金された配当金に対して、さらに日本でも約20.315%の税金(所得税・復興特別所得税・住民税)が課税されます。つまり、合計で30%以上が税金として差し引かれてしまうことになるのです。
| 課税のタイミング | 課税の内容 | 税率の目安 |
|---|---|---|
| 1. 米国で源泉徴収 | 配当金支払い時に米国が徴収 | 10%(日米租税条約適用後) |
| 2. 日本で源泉徴収 | 証券口座への入金時に自動差引 | 約20.315% |
| 合計の税負担 | 両国分を合算 | 実質28〜30%程度 |
この二重課税を解消する方法が「外国税額控除」という制度です。確定申告を行うことで、米国で徴収された税金の一部を日本の所得税から差し引くことができます。ただし、この控除を受けるためには確定申告が必ず必要で、「特定口座・源泉徴収あり」で取引していても確定申告を行わなければなりません。
NISA口座では外国税額控除が使えません。NISA口座は日本国内の税金は非課税になりますが、米国側で引かれた10%の源泉税は戻ってきません。NISA口座を利用する際は、この点を事前に理解しておきましょう。
「外国税額控除」を活用するための基本ステップ
- 証券会社の年間取引報告書(特定口座)と外国税額の資料を保管しておく
- 翌年2〜3月の確定申告期間に「申告分離課税」または「総合課税」を選んで申告
- 確定申告書の「外国税額控除に関する明細書」に必要事項を記入
- 控除限度額の範囲内で、日本の所得税・住民税から差し引きを受ける
- NISA口座の配当金は申告不可(外国税額控除の対象外)
配当金狙いで海外株に投資する場合は、確定申告による外国税額控除の活用を前提に考えましょう。ただし控除額の計算は複雑なため、戻ってくる税額と手間を天秤にかけて判断することが大切です。配当金よりも値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う戦略であれば、売却益には二重課税は発生しません。
地政学リスクとは、特定の地域や国で起こった戦争・紛争・政治的混乱・経済制裁などが、株式市場や世界経済に悪影響を与えるリスクのことです。日本株に投資していても国際情勢の影響は受けますが、海外株に直接投資している場合は、その影響がより直接的かつ深刻になる可能性があります。
2026年現在、世界の地政学的リスクは歴史的に見ても高い水準にあります。ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東での緊張、米中関係の悪化、台湾海峡をめぐる問題、そしてトランプ政権の予測不能な政策運営など、株式市場に影響を与えうる要素が山積しています。
| リスクの種類 | 主な事例(近年) | 株式市場への影響 |
|---|---|---|
| 軍事紛争・戦争 | ロシアのウクライナ侵攻(2022〜) | エネルギー・食料価格急騰、欧州株下落 |
| 貿易摩擦・関税 | 米中貿易摩擦、トランプ関税政策 | サプライチェーン混乱、ハイテク株変動 |
| 政治的不安定 | フランス政治混乱、中東情勢悪化 | 当該国・地域の株式急落 |
| 経済制裁 | 対ロシア制裁、対中技術規制 | 関連企業株の大幅下落 |
| 台湾海峡リスク | 軍事演習の頻発(2024〜) | 半導体関連株、アジア株全般に波及 |
東京海上ディーアールのレポートでも「日本企業を取り巻くリスクは多様化の一途をたどっており、米中関係の緊張・地政学リスク・相次ぐサイバー攻撃など、近年で新たに顕在化したリスクが企業に大きな影響を与えている」と指摘されています。
特に注意が必要なのが、新興国株式への投資です。新興国市場は先進国に比べてボラティリティ(価格変動の激しさ)が高く、政治体制が不安定な国も多いため、地政学リスクの影響をより強く受けやすい傾向があります。
地政学リスクが高まると、株式市場は敏感に反応し急落することがあります。特定の地域の緊張が、予測できないタイミングで一気に顕在化するのが地政学リスクの怖さです。「ずっと平和だったから大丈夫」という油断は禁物です。
地政学リスクへの最大の対策は地理的な分散投資です。「卵を一つのかごに盛るな」という投資の格言があるように、一か国・一地域への集中投資を避け、複数の国や地域に分散することでリスクを軽減できます。また、政治体制が比較的安定している先進国の株式を軸に、一部を新興国に振り向けるバランスも検討に値します。
海外株投資においては、「情報の非対称性」という大きな落とし穴があります。情報の非対称性とは、売り手(企業)と買い手(投資家)の間で持っている情報に大きな格差があることを指します。この問題は国内株投資にも存在しますが、海外株の場合はさらに深刻になります。
日本人投資家が直面する「3つの情報格差」
SNSで「この銘柄がすごい!」という情報を見て購入したものの、それはすでに数週間前に現地のアナリストが分析した内容の又聞きで、株価はすでにその情報を織り込んで高騰していた——というパターンは非常によく起きます。いわゆる「高値づかみ」の典型的な原因の一つです。
大和証券も指摘しているように、「国内と比較して絶対的な情報量が少ない」ことが外国株投資の主要なデメリットとして挙げられています。また、株式市場では企業情報に精通した機関投資家やプロのトレーダーと、情報が限られた個人投資家が同じ土俵で戦うことになります。特に海外市場では、この差がより顕著です。
SNSやYouTubeで流れている「海外株の情報」は、多くの場合すでに古い情報であったり、特定の目的を持って発信されている場合があります。情報ソースの信頼性と鮮度を常に意識することが重要です。
個別銘柄の分析が難しいと感じたら、インデックスファンド(指数に連動する投資信託やETF)を活用するのが最も賢い選択です。S&P500や全世界株式インデックスなら、個別企業の情報を深く調べなくても、市場全体の成長に乗ることができます。また、英語が得意な方は米国の証券取引委員会(SEC)のWebサイトで企業の開示資料を直接確認することも有効です。
流動性リスクとは、保有している株式を希望するタイミングや価格で売却できなくなるリスクのことです。大手証券取引所に上場されている大型株(米国のApple、Microsoftなど)ではこの問題はほぼ発生しませんが、規模の小さな新興国の株式市場や、マイナーな銘柄への投資では深刻な問題になることがあります。
流動性が低い市場・銘柄の特徴
- 取引量が少なく、売りたいときに買い手が見つからない
- 売値と買値の差(スプレッド)が大きく、取引コストが高い
- 市場が動揺したとき(暴落時)には特に売れにくくなる
- 政情不安などで取引所が一時閉鎖されるケースも(新興国など)
- 米国主要取引所(NYSE・NASDAQ)の大型株は流動性が高い
見落としがちな「取引コスト」の問題
海外株投資では、取引コストも国内株より高くなりがちです。国内証券会社を通じて海外株を売買する場合、為替手数料(スプレッド)と売買手数料の両方が発生します。
| コストの種類 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 売買手数料 | 株の売り買いの都度発生 | 約定金額の0.495%程度(上限22ドルなど) |
| 為替スプレッド | 円→ドル・ドル→円の変換コスト | 1ドルあたり25銭〜1円程度 |
| 為替差損 | 相場変動による損失 | 変動次第(数%〜二桁%) |
| 信託報酬(投信の場合) | ファンド保有中に毎日差し引かれる | 年0.05%〜2%程度(商品による) |
こうしたコストは、一見小さく見えますが長期間にわたって積み重なると、最終的なリターンに大きな影響を与えます。特に短期売買を繰り返す場合は、コストがかさんで利益が出にくくなります。
100万円を年3%のリターンがある投資で30年運用した場合、コスト0%なら約243万円に成長します。しかし年間コストが1%かかる場合は約181万円に留まり、なんと62万円もの差が生まれます。コストの差が小さく見えても、長期では巨大な差になるのです。
流動性が高い市場・銘柄への投資を基本とし、新興国の小型株など流動性に難がある銘柄への投資はポートフォリオの一部にとどめましょう。また、コストを抑えるために信託報酬が低いインデックスファンドやETF(年0.1%未満のものも存在)を活用することが長期的なリターンの向上につながります。
「米国株は過去30年間ほぼ右肩上がりだったから、これからも大丈夫」——そう信じて米国株だけに全資産を集中投資している方は少なくありません。確かに、米国株式市場(S&P500)の長期パフォーマンスは歴史的に優秀ですが、これが将来も続く保証はありません。
投資の世界には「過去のパフォーマンスは将来の成果を保証しない」という鉄則があります。かつて世界最大の株式市場だった日本でさえ、1989年のバブル崩壊後は30年以上にわたって低迷しました。「絶対に安全な市場」などというものは存在しないのです。
米国株集中投資が抱えるリスク
アライアンス・バーンスタインも「2026年は新たな方面への投資拡大を通じてリスクに対応する必要がある」と指摘しており、米国一極集中ではなく、投資先の多様化を推奨しています。
1990年代後半、「日本はバブルが崩壊したが米国は違う。ITブームで永遠に上がり続ける」と多くの投資家が信じました。しかし2000年のITバブル崩壊でNASDAQは約80%下落。その後、回復に10年以上かかりました。「今の人気市場=永遠の安全地帯」という思い込みは、投資において最も危険な考え方の一つです。
分散投資の重要性
| 分散の種類 | 方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 地域分散 | 米国・欧州・日本・新興国に分散 | 特定国の下落リスクを軽減 |
| 銘柄分散 | 複数の企業・セクターに分散 | 個別銘柄の急落リスクを軽減 |
| 時間分散 | 毎月定額を積立(ドルコスト平均法) | 高値づかみのリスクを軽減 |
| 資産クラス分散 | 株式・債券・REIT・金などを組み合わせ | 株式市場全体の暴落リスクを軽減 |
米国株への投資を核としつつも、欧州・日本・新興国などにも分散を図ることが重要です。全世界株式インデックスファンド(オルカン等)はその一つの答えです。また、株式だけでなく、値動きが異なる資産(債券・金・REITなど)を組み合わせることで、ポートフォリオ全体の安定性を高めることができます。
7つ目の落とし穴は、外部環境ではなく投資家自身の心理にあります。人間は本来、合理的に判断できる存在ではありません。お金に関わる場面では特に、さまざまな「心理的バイアス(偏り)」が働き、正しい判断を妨げます。海外株投資では、言語・文化・時差などの障壁があるため、このバイアスがさらに強く出やすい傾向があります。
海外株投資でよく起きる「5大バイアス」
| バイアスの名前 | どんな行動として現れるか | 海外株での具体例 |
|---|---|---|
| 確証バイアス | 自分が買いたい株の「良い情報」だけを集めてしまう | SNSで人気の銘柄の好材料ばかりを信じ、リスク情報を無視して購入 |
| 損失回避バイアス | 損失を確定したくないあまり、含み損の株を持ち続ける | 業績悪化した海外株を「いつか戻るはず」と信じて損切りできない |
| バンドワゴン効果(FOMO) | 「みんなが買っているから」と乗り遅れを恐れて衝動買い | 急騰した銘柄の高値圏で「今買わないと後悔する」と焦って購入 |
| 過去の実績への過信 | 「今まで上がり続けたから今後も上がる」と信じる | 米国株の長期上昇を根拠に、リスク管理を軽視した集中投資 |
| アンカリング | 最初に見た株価に引きずられ続ける | 「あのとき100ドルだったから、今の70ドルは安い」と根拠なく判断 |
特に海外株の場合、情報が少ない・得にくいという状況が心理的バイアスをより強める方向に働きます。よくわからないからこそ、「有名だから安心」「SNSで話題だから買い」という感情的な判断に陥りやすいのです。
人気YouTuberが「この米国テック株は絶対上がる!」と言っているのを見て、翌日すぐに大金を投資。その後、市場が調整して株価が30%下落。「まだ上がるはず」と信じて損切りできないまま、含み損がさらに拡大——これは心理的バイアスが複合的に重なった典型例です。「確証バイアス」「FOMO」「損失回避バイアス」が連続して判断を狂わせています。
心理的バイアスを克服する「ルール投資」の考え方
心理的バイアスに打ち克つための最も有効な方法は、感情に左右されない投資ルールを事前に決めておくことです。
- 毎月〇円を必ず積み立てる(金額を固定し、相場状況で変えない)
- 資産の〇%以上を一銘柄に集中させない(集中投資の上限を設ける)
- 〇%以上含み損になったら損切りする(損切りラインを事前に決める)
- SNSの情報で衝動買いしない(24時間以上考えてから判断する)
- 「みんな買ってるから」という理由だけで購入しない
- 「今すぐ買わないと乗り遅れる」という焦りに従わない
投資を始める前に、「どんな目的で・いくら・どの期間・どんな商品に投資するか」を書面に書いて決めておきましょう。投資方針が明確であれば、相場が荒れても感情的な判断を防ぎやすくなります。また、自動積立の仕組みを使うことで「やめようか」という誘惑にも勝ちやすくなります。
落とし穴を回避して成功するための「海外株投資ロードマップ」
ここまで7つの落とし穴を詳しく解説してきました。「こんなにリスクがあるなら、海外株はやめた方がいいのでは?」と感じた方もいるかもしれません。しかしそれは誤解です。リスクを正確に理解したうえで適切な対策を取れば、海外株投資は長期的な資産形成において非常に有力な手段になります。ここでは、初心者が実践できる具体的なステップを紹介します。
ステップ1:まずは「生活防衛資金」を確保する
投資を始める前に、最低でも生活費の3〜6ヶ月分を現金で手元に置いておくことが鉄則です。これは「投資に回してはいけない資金」です。生活防衛資金がない状態で投資すると、急な出費が必要になったときに、株価が低いタイミングで強制的に売却しなければならなくなります。
ステップ2:新NISAを最大限に活用する
日本在住の方が海外株投資をするうえで、新NISA(非課税投資制度)の活用は必須です。新NISAでは年間最大360万円(成長投資枠240万円+つみたて投資枠120万円)の投資について、売却益や配当金が非課税になります。長期的な複利効果と非課税のメリットを組み合わせることで、資産形成の効率が飛躍的に高まります。
ステップ3:まずはインデックスファンドから始める
海外株への投資経験が少ない方には、まずインデックスファンドから始めることを強くおすすめします。代表的な選択肢としては以下のようなものがあります。
| 商品の種類 | 投資対象 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 全世界株式インデックス | 世界の株式約3,000〜8,000銘柄 | 最も分散が効いている。地域偏りが少ない | とにかくシンプルに投資したい人 |
| 米国株式インデックス(S&P500) | 米国主要500社 | 過去の実績が高い。米国集中のリスクあり | 米国経済の成長を重視する人 |
| 先進国株式インデックス | 米国・欧州・日本など先進国株式 | 安定感があり、新興国リスクを避けられる | 安定性を重視する人 |
| 新興国株式インデックス | 中国・インドなど新興国株式 | 成長期待が高いがリスクも高い | 一部をアクセントで持ちたい人 |
インデックスファンドを活用すれば、個別銘柄の情報を深く調べなくても、市場全体の成長に乗ることができます。また、信託報酬が年0.1%未満の低コスト商品も多数登場しており、長期投資に非常に適しています。
ステップ4:「積立投資」の習慣をつくる
毎月決まった金額を自動的に積み立てる「積立投資(ドルコスト平均法)」は、海外株投資における為替リスクや相場タイミングリスクを自然に分散する効果があります。市場が下落したときには同じ金額でより多くの口数を購入できるため、長期的には平均購入コストを下げる効果が期待できます。
大切なのは「継続すること」です。相場が暴落したときに慌てて売ったり、急騰したときに追加購入を焦ったりすることが、積立投資の最大の失敗パターンです。「市場の短期的な動きに反応しない」という姿勢が、長期的な資産形成において最も重要な習慣の一つです。
ステップ5:定期的なリバランスでリスクをコントロールする
投資を始めた後も、年に1〜2回程度、自分のポートフォリオの配分を見直す「リバランス」を行うことをおすすめします。株式が大きく上昇すると、当初は株式70%・債券30%だった配分が、株式85%・債券15%になってしまうことがあります。このとき、株式の一部を売って債券を買い増すなどして、当初の配分に戻すのがリバランスです。
リバランスには「自然と高値で売り・安値で買う」という効果があり、長期的なリターンの改善にも貢献します。感情に左右されず、あらかじめ決めたルールに従って実行することがポイントです。
2026年の投資環境——海外株投資を取り巻く最新の状況
最後に、2026年現在の投資環境について簡単に整理しておきましょう。
世界経済の見通し:拡大継続も不確実性は高い
2026年の世界経済は、米国経済がけん引する形で拡大が続くという見通しが多くの機関から示されています。設備投資の拡大や人工知能(AI)関連の需要拡大が成長を下支えする要因として挙げられており、株式市場にとっては比較的良好な環境が続く可能性があります。
一方で、不確実性も引き続き高い水準にあります。トランプ政権の政策運営の予測不能性、インフレ再燃リスク、地政学的緊張の高まりなど、市場を揺るがしうる要因は枚挙にいとまがありません。ピクテ・ジャパンは「2026年には先進国ソブリン債の利回りが緩やかに上昇すると予想しており、市場のボラティリティが高まるリスクがある」と指摘しています。
為替見通し:引き続き注意が必要
2026年の円ドル相場については、米ドルが緩やかに下落する(=円高方向)という見通しを示す機関もあります。ただし、日銀の利上げペースや米国のインフレ動向次第で大きく変わる可能性があるため、「円安が続くから安心」「円高になるから損をする」という一方的な見方は危険です。
いずれにせよ、為替相場の予測は世界最高の専門家でも難しいとされており、個人投資家が短期的な為替の動きを読んで利益を出しようとするのは非常に困難です。長期投資・積立投資によって時間的な分散を図ることが、為替リスク対策の王道です。
AI・テクノロジー株の行方
2025年に米国株を大きく牽引した人工知能(AI)関連株については、その高いバリュエーション(株価の割高感)をどう評価するかが、2026年の重要な論点の一つです。アライアンス・バーンスタインは「AI銘柄の中でも本当の勝者を見極めることが重要であり、ノイズに惑わされないことが大切」と述べています。
ブームに乗って話題の銘柄に飛びつくのではなく、企業の実力と将来性を冷静に見極める姿勢が、2026年の投資環境でも求められています。
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1為替リスク:株価が上がっても円高が進めばリターンはマイナスになる可能性がある。長期・積立で時間分散を図ることが重要。
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2二重課税:海外株の配当金は投資先の国と日本の両方で課税される。外国税額控除を活用し、確定申告を正しく行うことで取り戻せる部分もある。
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3地政学リスク:戦争・紛争・政治的混乱が株価を直撃する。地理的な分散投資でリスクを軽減することが基本。
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4情報格差:言語の壁・時差・開示制度の違いにより、現地投資家に比べて情報が遅く・少ない。インデックスファンドを活用することで情報格差の影響を最小化できる。
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5流動性リスクと取引コスト:売りたいときに売れないリスクと、積み重なるコストが最終的なリターンを大きく左右する。低コスト商品の選択と流動性の高い市場への投資を心がける。
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6集中投資リスク:米国株だけへの集中投資は、過去の成功が将来も続く保証はない。地域・資産クラス・時間の分散が長期的な安定につながる。
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7心理的バイアス:最大の敵は自分自身の感情。ルールを事前に決め、感情に左右されない自動積立の仕組みを活用することが有効。
結論:リスクを知ることが、資産を守り育てる第一歩
海外株投資には、確かに多くの魅力的な可能性があります。グローバルに展開する優良企業に投資できること、日本株とは異なる成長の波に乗れること、そして何より長期的な資産形成においてインフレに負けない実質的な資産の成長を期待できること——これらは海外株投資の大きな魅力です。
しかし同時に、本記事で見てきたような7つの落とし穴が存在することも事実です。大切なのは、これらのリスクを怖れて投資をやめることではありません。リスクを正確に理解したうえで、適切な対策を取ることです。
「知らなかった」では済まされない落とし穴を事前に知っておくことが、資産を守り、確実に育てていくための最初の一歩です。まずは少額から、新NISAを活用した積立投資でインデックスファンドを試してみることをおすすめします。小さく始めて、知識と経験を積み重ねながら、自分に合った投資スタイルを見つけていきましょう。
海外株投資の世界は複雑ですが、正しい知識と長期的な視野があれば、初心者でも着実に資産形成を進めることができます。ぜひ今日から、一歩踏み出してみてください。
最後に大切なことをもう一つ:本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任のもとで行ってください。不安な点がある場合は、金融庁に登録された信頼できるファイナンシャルアドバイザーや証券会社の担当者にご相談することをおすすめします。





【免責事項】
記事内のデータ・数値は2026年6月時点の情報をもとにしています。
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