
「住宅ローン、変動金利にしようと思っているけど、これから金利が上がるって聞いて不安…」「固定金利は安心だけど、金額が高すぎて踏み切れない…」――そんな声が、2026年の今、住宅購入を検討している方から数多く聞こえてきます。
それもそのはずです。2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除して以降、住宅ローン金利は「上がる時代」へと完全に転換しました。そして2026年6月、日銀はついに政策金利を1.0%へと引き上げ、約31年ぶりの高水準となりました。長く続いた「金利ゼロ時代」は、完全に終わりを告げたのです。
一方で、変動金利と固定金利の差は今や「過去最大水準」にまで拡大しており、どちらを選ぶかによって、総返済額に数百万円もの差が生まれます。この大事な判断を、なんとなくの感覚や「周りに合わせて」決めてしまうのは、あまりにも危険です。
この記事では、金融のプロとして、最新の市場動向を踏まえながら、住宅ローン初心者の方でも迷わずに正しい判断ができるよう、固定金利・変動金利それぞれの仕組み、メリット・デメリット、そして「あなたはどちらを選ぶべきか」を具体的にお伝えします。ぜひ最後まで読んで、後悔しない住宅ローン選びの第一歩を踏み出してください。
まず知っておきたい:今の住宅ローン市場は「歴史的転換点」にある
住宅ローンを選ぶうえで、まず現在の市場環境を正確に把握することが欠かせません。なぜなら、「どちらが有利か」の答えは、金利の水準や今後の見通しによって大きく変わってくるからです。
30年続いた「超低金利時代」の終わり
1990年代のバブル崩壊以降、日本の金利は約30年にわたって下がり続けてきました。最も極端な時期には、変動金利が年0.4〜0.5%台という「ほぼゼロ」の水準にまで低下し、「住宅ローンはとにかく変動金利で借りれば得」という考え方が広く普及しました。
しかし、その時代はすでに終わりました。
日銀の金融政策転換:ここ2年間の主な動き
2024年3月
マイナス金利政策の解除。「金利のある世界」へ突入
2024年7月・2025年1月
追加利上げを2回実施。政策金利が0.5%へ
2025年12月
さらなる利上げで政策金利が0.75%へ。約30年ぶりの高水準
2026年6月(最新)
政策金利が1.0%へ。31年ぶりの高水準に到達。変動金利は秋以降に再上昇の見込み
この流れを見ると、日銀がいかに急速に「金融の正常化」を進めてきたかがわかります。そして、エコノミストの多くは2026年内に政策金利がさらに1.0%前後まで達する可能性を見込んでいます。
2026年6月時点の金利水準:固定と変動の差が「過去最大」に
現在の住宅ローン金利は、以下のような状況になっています。
| 金利タイプ | 2026年6月の目安 | 1年前との比較 |
|---|---|---|
| 変動金利(主要行・優遇後) | 約0.9〜1.0% | 上昇 |
| 10年固定金利(主要行) | 約1.5〜2.5% | 大幅上昇 |
| フラット35(全期間固定) | 約3.2% | 過去最大水準に上昇 |
特に注目すべきは、固定金利(フラット35)が2026年6月に年0.50%という過去最大級の引き上げを行ったことです。長期金利(10年国債利回り)が2026年5月に2.7%台という高水準まで上昇し、固定金利の抑制策が限界を迎えたためです。
その結果、変動金利と固定金利の差は「過去最大水準」にまで広がっています。この差が、今後の選択判断を難しくしている最大の要因です。
基本をおさらい:変動金利と固定金利、それぞれの仕組みとは?
住宅ローンを初めて検討する方にとって、まず押さえておきたいのが「変動金利」と「固定金利」それぞれの仕組みです。ここを理解しないまま選んでしまうと、後で「こんなはずじゃなかった」という事態になりかねません。
変動金利:低く始まるが、上がるリスクがある
変動金利は、日本銀行の政策金利(短期金利)の影響を受けて、定期的に見直される金利です。多くの金融機関では半年ごとに金利が見直されます(一部では毎月見直しに移行した金融機関もあります)。
現在の水準(0.9〜1.0%前後)は固定金利と比べると依然として低く、月々の返済額を抑えやすいのが最大のメリットです。しかし、日銀が利上げを続けると、それに連動して金利が上昇し、返済額も増えていきます。
変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」がある
変動金利に存在する独自の保護の仕組みとして、多くの金融機関が「5年ルール」と「125%ルール」を採用しています。
5年ルール
金利が変わっても、毎月の返済額は5年間変わりません。金利が上がっても、すぐに返済額が増えないので家計への急激な打撃を防げます。ただし、利息が増えた分だけ元金の減り方が遅くなります。
125%ルール
5年ごとの返済額の見直しで、増額幅は従来の返済額の1.25倍(125%)までが上限です。たとえば月8万円だった返済額が最大でも10万円までしか上がらない、という制限です。
ただし、これらのルールには重要な「落とし穴」があります。返済額が据え置かれていても、その内訳(元金と利息の割合)は変わってしまうのです。金利が上がると、返済額の中で「利息の占める割合」が増え、元金がなかなか減らなくなります。さらに金利が急上昇した場合は「未払利息」が発生し、最終的に一括返済を求められるリスクもあります。
また、ソニー銀行・SBI新生銀行・PayPay銀行などの一部ネット銀行ではこのルールが適用されず、金利が上昇した場合は即座に返済額が変わる点にも注意が必要です。
固定金利:高いが、ずっと安心が続く
固定金利は、長期金利(10年国債の利回り)をもとに設定され、借入時点で返済完了まで金利が変わらないタイプです。全期間固定の代表例が「フラット35」で、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供しています。
現在のフラット35の金利は約3.2%と、変動金利に比べるとかなり高く設定されています。月々の返済額は変動金利を選んだ場合と比べて数万円高くなることも珍しくありません。
しかし、固定金利の最大のメリットは「完済まで返済額が一切変わらない」という安心感です。日銀がどれだけ利上げをしても、世の中の物価がどれだけ上がっても、あなたの毎月の支払額は最初に決めた金額のまま。将来のライフプランが立てやすく、「金利が気になって眠れない」というストレスとも無縁でいられます。
| 比較項目 | 変動金利 | 固定金利(全期間) |
|---|---|---|
| 金利水準 | 低い(約0.9〜1.0%) | 高い(約3.2%) |
| 月々の返済額 | 少ない | 多い |
| 将来の変動リスク | あり(金利上昇で増額) | なし(完済まで固定) |
| 計画の立てやすさ | 立てにくい | 立てやすい |
| 精神的な安心感 | 金利動向が常に気になる | 完済まで気にせず過ごせる |
| 金利が下がった場合 | 恩恵を受けられる | 恩恵を受けられない |
数字で見る:金利の差が返済額にどれだけ影響するか
「金利の差」と言われても、ピンとこない方も多いかもしれません。そこで、実際の返済額シミュレーションを使って、具体的に確認してみましょう。
| 金利タイプ | 適用金利(目安) | 月々の返済額 | 総返済額(試算) |
|---|---|---|---|
| 変動金利(現時点) | 1.025% | 約85,000円 | 約3,570万円 |
| 変動金利(1.5%に上昇した場合) | 1.5% | 約92,000円 | 約3,864万円 |
| 変動金利(2.0%に上昇した場合) | 2.0% | 約100,000円 | 約4,200万円 |
| フラット35(全期間固定) | 3.2% | 約118,000円 | 約4,956万円(確定) |
※上記はあくまで試算です。実際の返済額は金融機関・返済条件・保証料等により異なります。変動金利の上昇シミュレーションは「借入当初から一定金利が適用され続けた場合」の概算です。
この表を見ると、現時点の変動金利(1.025%)とフラット35(3.2%)では、月々の返済額に約3万3千円もの差があります。35年間でみると、その差は約1,386万円にもなります。
一方で、変動金利が今後2.0%まで上昇した場合、フラット35との総返済額の差は約760万円まで縮まります。つまり、「変動金利が今後どこまで上がるか」によって、どちらが有利かは大きく変わってくるのです。
現実的なシナリオで考えると…
大手シンクタンクの多くは、日銀が今後1〜2年かけて政策金利を1.0〜1.5%程度まで引き上げていく可能性を想定しています。これが住宅ローンの変動金利に反映されると、優遇後の適用金利はおおよそ1.5〜2.0%台に達する可能性があります。
ただし、日銀の「中立金利」の推計(1.1〜2.5%程度)の上限まで達するような急上昇シナリオを予想する声は今のところ少数派です。物価・賃金の動向を慎重に見極めながら、時間をかけて緩やかに上昇していく展開が現実的と考えられています。
つまり、「金利が急に3〜4%まで跳ね上がる」という事態は可能性が低いものの、「これ以上は下がらず、じわじわと上がり続ける」というシナリオはかなり現実的だということです。
2026年のインフレと住宅ローン:見落とせない重要な視点
住宅ローン選びを語るうえで、「インフレ(物価上昇)」との関係を理解しておくことが重要です。単に「金利が安いかどうか」だけでなく、物価の変動がローン返済にどんな意味を持つかを知ることで、判断の幅が広がります。
インフレ時代に「固定金利でローンを組む」意味
インフレとは、モノの値段が上がり続けることです。毎年1〜2%物価が上昇すると、10年後にはざっくりと今の100万円の価値が約80〜90万円相当に目減りします。
これは、住宅ローンの返済にとって意外な「追い風」になります。なぜなら、固定金利で借りた場合、35年間の返済額は変わりませんが、物価上昇によって「返済に使うお金の実質的な重さ」は年々軽くなっていくからです。
たとえば、今月の返済額が10万円だとします。20年後も10万円は同じ金額ですが、物価が上がっていれば、その10万円で買えるものは今より少なくなっています。つまり、実質的には「返済が楽になっている」と言えるのです。
逆に変動金利の場合、インフレ対策として日銀が利上げをすると、その影響がそのまま返済額の増加という形で家計に直撃します。つまり、インフレ局面では固定金利のほうが「物価上昇リスクへの防衛力」が高いとも言えます。
「固定金利は損」という常識は、もはや正しくない
かつて「固定金利は変動に比べて損だ」と言われてきたのは、過去30年間、金利がずっと下がり続けていたからです。低金利時代に高い固定金利でロックインするのは確かに不利でした。
しかし今は違います。日銀は利上げサイクルに入っており、変動金利は今後も上昇圧力がかかり続けます。その一方で、固定金利(フラット35)の現在の水準(約3.2%)が「歴史的に見て非常に高い」かというと、そうでもないのです。
バブル期(1990年頃)
8.5%
変動金利の水準
超低金利ピーク(2021年頃)
0.4%
変動金利の水準
現在(2026年6月)
3.2%
フラット35の水準
長期的な視点では、現在のフラット35の3.2%はバブル期と比べれば非常に低い水準です。「高すぎる」と感じるのは、超低金利時代に慣れてしまった感覚によるものです。
変動金利を選ぶなら:必ず知っておくべきリスクと対策
2026年6月現在でも、住宅ローン利用者の多数派は変動金利を選んでいます。固定金利との金利差が「過去最大水準」にまで広がっているため、変動金利の低さに魅力を感じる方が多いのは自然なことです。しかし、変動金利を選ぶなら、リスクの正しい理解と具体的な備えが絶対に必要です。
リスク1:2026年10月以降、さらに返済額が上がる可能性
2026年6月の金融政策決定会合で、日銀は政策金利を0.75%から1.0%へと引き上げました。これを受けて、多くの銀行が2026年10月に変動金利の基準金利を約0.25%引き上げる見通しです。さらに、その影響が既存の借入者の返済額に反映されるのは、2027年1月以降になる予定です。
2025年12月の利上げによる影響(2026年7月反映)と、今回の利上げ(2027年1月反映)が重なる形になるため、2026年末から2027年にかけて、変動金利の借入者は「二段階での返済額増加」を体感することになります。
リスク2:住宅ローン減税との「逆ざや」が解消されつつある
住宅ローン減税(住宅ローン控除)は、年末時点のローン残高の0.7%を所得税・住民税から差し引ける制度で、最大13年間続きます。これは特に借入当初の家計に大きな恩恵をもたらします。
超低金利時代は「変動金利0.4%でローンを組んで、住宅ローン控除0.7%の還付を受ければ、実質的に税金が戻ってくる」という「逆ざや」状態が生まれていました。しかし、変動金利が1.0%を超えてきた今、この逆ざや効果は薄まりつつあります。
変動金利を賢く使うための3つの戦略
「金利上昇シミュレーション」を必ず事前に行う
金利が0.5%・1.0%・1.5%上昇した場合、月々の返済額がどう変わるかを事前に試算しておきましょう。住宅ローンを扱う金融機関のウェブサイトには無料のシミュレーターが用意されています。「毎月○○円まで増えても家計が回るか」を確認した上で借入額を決めることが重要です。
繰り上げ返済よりも「手元現金の確保」を優先する
金利上昇への対応策として「繰り上げ返済で元金を減らせばいい」と考える方は多いです。しかしプロの目線から言うと、むやみな繰り上げ返済よりも手元に十分な現金(半年〜1年分の生活費)を確保しておくほうが優先度が高いです。住宅ローン減税の恩恵を最大限に受けながら、現金は別途積み立てておきましょう。
金利上昇の「シグナル」を半年ごとにチェックする
変動金利を選んだ後も、日銀の金融政策決定会合(年8回開催)の結果、短期プライムレートの動向、住宅金融普及協会が公開するデータは定期的にチェックしましょう。「短期プライムレートが動いた=数カ月後に変動金利が動く」というサインです。早めの対応(繰り上げ返済・固定への借り換え検討)が可能になります。
固定金利を選ぶなら:「高い」を「保険料」と考える発想の転換
変動金利との差額を見て「固定金利は高すぎる」と感じる方は多いです。確かに月々の返済額は変動金利より多くなります。しかし、プロの視点から見ると、固定金利の「割高感」は見方を変えると違って見えてきます。
固定金利の割高分は「将来の安心を買う保険料」
固定金利の割高分を「将来の金利上昇リスクに対する保険料」として捉えてみましょう。
たとえば、変動金利(1.025%)とフラット35(3.2%)を比較すると、借入3,000万円・35年間で月々の差額は約3万3千円です。これを「保険料」と考えると、月3万3千円で35年間ずっと「金利上昇リスクゼロ」の安心を買える、と言い換えることができます。
この「保険料」が高いか安いかは、今後の金利上昇幅によって変わります。変動金利が今後平均2.5%以上に上昇するようなシナリオでは、固定金利を選んでいた方が総返済額を節約できます。逆に上昇が軽微にとどまれば、変動金利のほうが有利になります。
固定金利が特に向いている方
こんな方に固定金利はおすすめです
金利の話を聞くたびに不安になる方
子どもの教育費・老後資金の計画を明確に立てたい方
共働きで、どちらかの収入が減るリスクがある方
繰り上げ返済の余裕資金をあまり持てない方
住宅ローンのことを毎月チェックしたくない方
長期固定で資産形成の土台を安定させたい方
フラット35のメリット:団信・繰り上げ返済にも注目
フラット35には、単純な「金利固定」以外にも見落とされがちなメリットがあります。
まず、住宅の省エネ性能(ZEH・認定長期優良住宅など)や、子育て世帯・若者世帯向けの条件を満たすと「フラット35S」として金利の引き下げを受けられる点です。当初5〜10年間、さらに0.25〜0.5%程度金利が下がるケースもあり、長期的な返済計画と組み合わせれば実質的な負担を軽減できます。
また、フラット35は融資実行後いつでも繰り上げ返済が可能で、手数料が無料の場合がほとんどです。将来的に収入が増えた際に繰り上げ返済で期間を短縮することで、支払利息を大きく減らすことができます。
第3の選択肢:「ミックス返済」という賢い折衷案
「変動か固定か、どちらか一方に絞り込めない」という方に知っておいてほしいのが、「ミックス返済(ミックスローン)」という方法です。
ミックス返済とは、住宅ローンの借入額を2つに分けて、一部は変動金利、残りは固定金利で借りるという方法です。たとえば、3,000万円のローンを「1,500万円は変動金利、1,500万円は固定金利」というように分けて組むことができます。
ミックス返済のメリット
- 金利上昇リスクを半分に抑えられる:固定部分は金利上昇の影響を受けないため、仮に変動部分の金利が上がっても、家計への打撃を半減できます。
- 変動金利の低さも享受できる:変動部分については現在の低金利メリットを維持できるため、全額固定よりも月々の返済額を抑えられます。
- 精神的なバランスが取れる:「全部変動で大丈夫か?」という不安を和らげながら、「全部固定は高すぎる」という不満も解消できます。
ミックス返済の注意点
ミックス返済には注意点もあります。同じ金融機関の中でも変動と固定を組み合わせる場合と、2つの異なる金融機関でそれぞれ借りる場合があり、後者は諸費用(保証料・登記費用など)が2倍かかることもあります。また、繰り上げ返済をする際にどちらの金利から返済するかによって、効果が変わります。
ミックス返済を検討する場合は、必ず実際の諸費用込みの「実質金利」で比較し、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに相談することをおすすめします。
あなたはどちらを選ぶべき?タイプ別チェックリスト
ここまで変動金利・固定金利それぞれの特徴をお伝えしてきました。最終的にどちらを選ぶべきかは、「金利が今後どうなるか」という予測だけでなく、あなた自身の家計状況・ライフプラン・性格(リスク許容度)によって大きく変わります。
以下のチェックリストを使って、自分がどちらのタイプか確認してみてください。
上のチェックで「変動向き」の項目に多くチェックが入った方は変動金利を、「固定向き」に多くチェックが入った方は固定金利を基本の選択肢として検討しましょう。どちらにも同程度チェックが入った方は、ミックス返済が選択肢に入ります。
実際のケーススタディ:3つの家族の住宅ローン選択
抽象的な説明だけでは判断しにくい、という方のために、実際のケーススタディを3つご紹介します。どのご家族の状況が自分に近いか、ぜひ参考にしてください。
住宅ローン選びで絶対に忘れてはいけない5つのポイント
ここまで変動金利・固定金利の比較を詳しく見てきましたが、最後に、どちらを選ぶにしても共通して必ず確認しておくべき重要ポイントをまとめます。
表面金利だけでなく「実質金利」で比較する
金利が低く見えても、保証料・融資手数料・団信保険料などの諸費用が高い場合は総返済額が増えます。金利と諸費用を合計した「実質金利」でローンを比較することが必須です。同じ変動金利でも、金融機関によって諸費用が数十万円以上異なることがあります。
「返済負担率」は年収の25%以内に抑える
年収に対する年間返済額の割合を「返済負担率」と言います。住宅ローンの審査では30〜35%まで認められることもありますが、生活の余裕度を保つためには25%以内が理想です。特に変動金利を選ぶ場合は、金利が2%に上がった場合でも25%以内に収まるか確認しましょう。
団体信用生命保険(団信)の内容をしっかり確認する
住宅ローンには通常、契約者が死亡・高度障害になった場合にローン残高がゼロになる「団体信用生命保険(団信)」が付いています。最近はがん・脳卒中・心疾患などをカバーする「三大疾病特約」や「全疾病保障」も充実しています。団信の保障内容は家族の万が一を守る重要な要素であり、金利だけでなく団信の手厚さも比較しましょう。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)を最大限に活用する
住宅ローン控除は、年末ローン残高の0.7%が最大13年間にわたって所得税・住民税から控除される制度です。3,000万円のローンなら最初の年は最大21万円の減税効果があります。住宅ローン控除の適用要件(床面積・所得要件など)を事前に確認し、この恩恵を最大限に活かした資金計画を立てましょう。
複数の金融機関を比較して選ぶ
住宅ローンは一つの銀行だけで決めてはいけません。メガバンク・地方銀行・信用金庫・ネット銀行など、複数の金融機関を比較することで、金利・諸費用・団信・サービスの差が鮮明になります。現在は住宅ローン比較サービスも充実しており、最低でも3〜5社を並べて検討することを強くおすすめします。特にネット銀行は低金利・低諸費用で注目を集めていますが、5年ルール・125%ルールが適用されないケースもあるため、仕組みの違いも必ず確認してください。
まとめ:金利が動く時代だからこそ、「自分軸」で選ぶ
「変動金利と固定金利、どちらが得か?」という問いへの答えは、正直なところ、「誰にも断言できない」というのが実情です。なぜなら、答えは今後の金利がどう動くかにかかっているからです。そして、その予測は世界最高の経済学者でも完全に正確に当てることはできません。
だからこそ大切なのは、「どちらが正解か」を探すことではなく、「金利がどう動いても後悔しない選択をすること」です。
変動金利を選んだとしても、金利上昇に備えた十分な準備(手元資金・繰り上げ返済余力・定期的なチェック)があれば、それは賢明な選択です。固定金利を選んだとしても、将来の変動リスクを排除して安定した生活設計を実現できるなら、「高い保険料」は十分に価値があります。
2026年6月現在、日銀は31年ぶりの利上げに踏み切り、変動金利も固定金利も上昇圧力がかかり続けています。しかし、長期的な視点で見れば、現在の金利水準はバブル期(変動8.5%)と比べてはるかに低い水準です。「今が最悪のタイミング」ではなく、むしろ「今がどんな状況なのかを正しく理解した上で動く最良のタイミング」なのです。
金利上昇の時代が本格化:日銀が31年ぶりの1.0%利上げ。変動・固定ともに上昇局面にある。
変動金利の今:約0.9〜1.0%台。低いが、2026年秋以降さらに上昇の可能性大。5年ルール・125%ルールの落とし穴を正しく理解すること。
固定金利の今:フラット35が約3.2%と高水準。ただし「安心の保険料」として考えると、ライフプランが安定する人には大きな価値がある。
ミックス返済という選択肢:どちらか決め切れない方は、変動と固定を組み合わせるミックス返済も有力な選択肢。
判断の軸はライフプラン:「収入の安定性」「繰り上げ返済余力」「精神的ストレスへの耐性」「将来の大きな出費」をもとに、自分軸で選ぶことが最重要。
大切なのは、この記事を読んで終わりにするのではなく、実際に複数の金融機関でシミュレーションを行い、必要であればファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに相談することです。人生最大の買い物とも言われる住宅購入だからこそ、時間をかけて、納得のいく選択をしてください。
金利が動く時代に、情報を正しく持ち、自分に合った選択ができた人だけが、インフレ時代の住宅ローンを味方にできます。この記事がその判断の一助になれば、これ以上嬉しいことはありません。
【免責事項】本記事は2026年6月時点の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供を目的としたものです。実際の金利は金融機関・審査結果・時期によって異なります。住宅ローンの最終的なご判断は、各金融機関または資格を持つ専門家(ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー等)にご相談のうえ、ご自身の判断で行ってください。




【免責事項】
記事内のデータ・数値は2026年6月時点の情報をもとにしています。
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